| 2002年09月10日(火) |
二つの『冷静と情熱の間』 |
今更ですが、『冷静と情熱の間』観ました?読みました? 映画を観て読んだ?読んで映画を観た? どっちから読んだ?
恋愛小説、恋愛映画、一つの物語として語られることが多いけど、その恋愛の渦中にいる二人は、それぞれ違う風景を見ているかもしれない。 この発想から辻仁成、江國香織の二人がそれぞれ男と女の立場から『冷静と情熱の間』を書いた。
私はまずこの成り立ちを知って、快哉を叫んじゃった。 だって、それぞれの立場から見ると一つの恋愛でも、違う風景がある、至極当然のことなのに、今までこんな試みをした作品はなかったように思う。
と、いうわけで、私が手に取ったのは、男編『blu』 一気に読んでしまい、すぐに女編『rosso』に。 『blu』では、主人公が10年前に別れた彼女にどうしようもなく心を残している様子が丁寧に描かれていて、読んでいる私も一緒になって恋焦がれ、「10年前の約束、覚えていてくれるかしら」と、はらはらしながら読んだのですが、『rosso』は女側の立場でありながら、あんまり感情移入もできず、ちょっと期待が外れてしまった。 でも、『blu』だけでも、2冊分の満足感を満たすぐらい面白かったです。 ただ、せっかく、「一つの恋愛をお互いの立場から見たら」という試みなのだから、二人にもっと重なり合うイベントがあったほうが面白かったように思います。 これから、この『冷静と情熱の間』みたいなスタイルが一つのジャンルとして確立され、多くの作品が生み出されたらいいのになあ。
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