| 2002年09月11日(水) |
田口ランディ『昨晩お会いしましょう』 |
のっけからの超激しい性描写にめんくらって、 「なんじゃなんじゃ、ポルノ小説かや?」 とおもってしまった。 表現が奇抜で、刺激的なもんだから、底に流れるすごく繊細な感覚的な主題を見逃してしまうところだった。
とくに印象的だったのは「堕天使」 SMの出会い系サイトで知り合った女と不倫の関係をずっと続けている産婦人科医。お互いに伴侶とはセックスレスだが、不仲というわけではない。 家庭と不倫の両立が上手く行っていた、不倫相手が夫の子を妊娠するまでは…。 彼女は「夫の子どもなど産みたくない」と言い、堕胎を主人公に依頼する。
傍目には幸せに見える主人公の人生のすきまに見え隠れする小さな煩悶。 それは、立場は違っても誰にとっても普遍的なものなのかもしれない。
一冊読み終えて、またびっくり。 どうやら田口ランディさんって、女性だったんですね。 ずーーっと男性だと思って読んでました。 そう言えば主人公は女性が多かったし、女の心理を細かく描写しているなあとは思ったけど。 文体がさっぱりしていて、女っぽいねちっこさがないから、かってに男性だって思っていました。
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