| 2002年09月27日(金) |
村上春樹『ノルウェイの森(下)』再読 |
下巻は上巻でふりまかれた複雑でもやっとしたカオスが、収束に向かって動き出すのでさらっと読んでしまいました。
「さらっとしすぎて、らしくないわ。」 ぐらいの感じで。 人生や存在にたいする軽い諦観はかなり身を潜め、恋愛がクローズアップされています。 ため息出ちゃうぐらいリアルです。 「ああ、私のことみたい」 共感を通り越してます。 きっと、私だけでなく、私の年代の人が読んだら、誰しもがこんな気持ちを抱くんだろうなあ。
「どうして?」と緑は怒鳴った。「あなた頭がおかしいんじゃないの?英語の仮定法がわかって、数列が理解できて、マルクスが読めて、なんでそんなことわかんないのよ?なんでそんなこと訊くのよ?なんでそんなこと女の子に言わせるのよ?彼よりあなたのほうが好きだからにきまってるでしょ。私だってね、もっとハンサムな男の子好きになりたかったわよ。でも仕方ないでしょ、あなたのこと好きになっちゃったんだから」
“若さ”の真ん中で右往左往している人のところへ行って 「はい」 って、ぽんってこの本を手渡してあげたくなった。
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