きよこの日記

2004年11月22日(月) 吉野弘「雪の日に」

目が覚めて、台所に立つとカーテンの隙間から雪の降る景色がのぞいていた。

「初雪だ・・・」
もう冬なんだあ。
季節のうつろいを突然につきつけられて戸惑いながらも、やっぱり心うきうきします。
今日もいいことありますように。


――誠実でありたい。/そんなねがいを/どこから手に入れた。/
それはすでに/欺くことでしかないのに。/
それが突然わかってしまった雪の/かなしみの上に新しい雪がひたひたと/かさなっている。/
雪は 一度 世界を包んでしまうと/そのあと限りなく振りつづけなければならない/
純白をあとからあとからかさねてゆかないと/雪のよごれをかくすことが出来ないのだ/
誠実が 誠実を どうしたら欺かないでいることが出来るか/
それが もはや/誠実の手には負えなくなってしまったかのように/雪は今日も降っている。/
雪の上に雪が/その上から雪が/たとえようのない重さで/ひたひたと かさねられてゆく。/
かさなってゆく。
               ――吉野弘「雪の日に」


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