きよこの日記

2004年12月30日(木) ラフカディオ・ハーン『新編 日本の面影』

一人旅なんて、できる人じゃないはずなのに、自然に旅に出ることを決心していた。
目的は、ただ一人きりになること。
私とまったくかかわりのない場所で、ただ一人の私になること。

なーんて、そんなごたいそうなことじゃなくって、ごろごろして、ゆっくり本を読みたいな、ってさ。

そんな旅のおともに選んだのはラフカディオ・ハーン『新編 日本の面影』
まったくこの旅の雰囲気をこれ以上なく盛り上げてくれました。
ハーンとは日本名小泉八雲。英語教師として19世紀の松江に赴任してきて、目にした当時の日本の風物を驚きと賞賛を持って描いています。

「まるでなにもかも、小さな妖精の国のようだ。人も物もみんな小さく、風変わりで神秘的である。青い屋根の小さな家屋、青いのれんのかかった小さな店舗その前で青い着物姿の小柄な売り子が微笑んでいる。そんな幻想を打ち砕くのは、ときどきすれ違う背の高い外国人と、さまざまな店の英字看板だけである。しかしながら、そんな目障りなものも、現実感を強調するだけで、この面白い小さな通りの魅力が、それで著しく損なわれることが断じてない。」

日本に初めてやってきた喜びと驚きが、率直に書かれていて、読んでるこっちが誇らしい気持ちになります。
また、日本人にとって当たり前のことが改めて日本的なのだ、と気づいたりもします。
でも、やっぱり、今の日本には見られなくなってしまった、人びとの生活の形や、素朴な信仰には目を見開かれます。

特に、出雲大社参拝など、一連の神道研究は、本当に新しくって面白いです。

高山という日本的な街で一人ゆっくりハーンに浸る。
満足な旅となりました。


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