2005年01月01日(土) |
終わりなき世のめでたさよ |
「かませるもの何かありませんか」 「それがないんですよ」 「ちょっとじゃあ、押してみますか」 「せーのでいきますよ。」 「せーの!」 きゅるきゅるきゅるきゅる
タイヤが空転する音が虚しく鳴り響くけれど、両手がつかむ車体はびくともしない。 「ああー。全然動きそうもないですねえ。」 一同が所在なげに顔を見合わせる。
午伏寺にむかう山道は、車がすれ違うのがやっとの急な坂道には朝からの雪が20センチも積もり、深夜に至り凍り始めていた。
「あれー。いつもだったらこの道屋台とかたくさん出てて、二年参りの人ですごい人手なのに、今日はさすがに雪で全然だねー。」 友だち二人と私は、車を降りて山道を登っていった。 「ほらね。登山靴はいてきて正解だったでしょ」 「ほんとだ。うわっ。滑った! 午伏寺着くまでに何回こけるんだろー」
山道は二年参りの車が列をなしていたが、駐車場はすでに雪に埋まり、行き所のない車を横目に登って行った。 午伏寺ももう少し、というところで、不自然な向きで停止している車が。 お父さんと娘さんらしき二人が車の外であたふたしている。 方向転換しようとして雪にはまってしまったようだ。
「あれー。はまっちゃった?」 車を押す人が次第に増えてきた。 それでも、びくとも動かない。 「あ、2005年になってるよ」 「いつの間にか、年越しちゃったの? あはは。」 「あけましておめでとうございます。」 「あけましておめでとうございます。」
8人で「せーの!」と押したとき、マジェスタはゆっくりと前進しだした。 「わーー!!やったー!」
友だちと迎える初めてのお年越しは、こんな感じで、てんやわんやで楽しかったよ。
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