2005年01月13日(木) |
壁の向こうに見えるもの |
アドレス帳から、ケイタイの番号も、メールアドレスも削除しました。
自分から電話をかけることはもうないかもしれない、と、自然と思えたのです。 やっと長い長い片思いから卒業できたみたいです。
何かあった時、一番に話をしたくなる人、私の進む方向が正しいのか間違っているのか、示してくれる人だったんです。 ほかの誰にもそんなことはできないから、私はその人を誰よりも大切に思っていました。 遠くにいても、会うことがなくても、「その人ならばどうするだろう?」と、いつも近くに感じていました。 その人が私の規範だったのです。
でも、私が思うように、その人に思われることができませんでした。 それは、ずっと前からわかっていたことです。 もしかしたら、好きになった瞬間に決まっていたことなのかもしれません。 頭でわかっても、感情が納得できずにさらに1年半が過ぎようとしていました。
いつのころからか、話すことはいつも世間話。 会話の話題規制の見えない高い壁がありました。 踏み込んだ話はタブーなのです。 誰よりも語り合いたい人と語れないのは大きなジレンマでした。 私は壁の突破を試みました。
「あきれるかもしれないけど、まだ好きなんだよ」
そして、私は理解しました。 もう、あの人はいないのだ、と。 私が必要としていたあの人は、今ではもう違う人のように変わっていました。 名前も雰囲気も、何ひとつ変わってはいないけれど、一番私が必要としていた部分が別の人のようでした。
お互いの環境も、関係も、変わってしまうのに充分な時間がたってしまっていたということを、私はあまりにも軽く考えていたのです。 遠くで思う変わらないあの人のイメージに固執し、変わりゆく生身の人間にその残像を探し求め続けてきた私の愚かさを思います。
壁の向こうには、何もありませんでした。 ただ、地平線まで草原が広がっているような、そんな爽快な眺めです。 私は風におでこをなでられ苦笑しました。
不思議なくらい心が晴れやかです。 生活の小さな一つ一つにいたるまで、すべてが自分の手に戻ってきたような気がします。 ケイタイも新しいのに変えようかな。
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