「なーなーおかあちゃん。なんでいったらあかんの?」
「あかん、ゆうたらあかんねん」
「なーなーおかーちゃん!! おとんのとこになんでいったらあかんねん」
「あ・か・ん」
「おかんはおとん嫌いなん? おとんはあかんの?」
「うっさいな〜ほんまに、この子は」
「なーなーおかーちゃん。うちはおとん好きやねん。すきすきなんよ」
「うっさい!!」
「・・・・・・おかーちゃん嫌い!!」
「・・・・・・おかーちゃん・・・・・・・」
「おとーちゃんは病気やねん。あんたに移ったらあかんやろ。だからやねん。」
「ふーん。でもおとんは元気そうやったで。この前、おもちゃもこーてもーたし」
「え!あんたそれ知らんで!」
「あ・・・・・・おかーちゃん、ないしょにしとってな。いわれてん、おとんに、おかんには内緒にしとけよぉーって」
「内緒やでおかーちゃん」
「ほんまにしょうがない子やね。ほんまあの人の子供やわ」
「えへへ」
「えへへ、ちゃうやろ」
「なーおかーちゃん、内緒にしとってな。そうじゃないと悪もんやん、うち。」
「分った分った。だから、おとーちゃんに会いにいったらあかんねんで」
「えーなんかずるない? でも内緒やでー。」
「・・・」
「なーなーおかーちゃん。おかーちゃん」
「なにー?」
執筆者:藤崎 道雪