ああ、俺は記憶力が良いし賢いよ。
ああ、俺は体力はあるしスポーツが出来るよ。
ああその通り、瞬時に長所と短所と価値を見極めるよ。
だからって何だってんだ。だからこの地上の人間と比較してどうしよってんだ。そんなの自らの虚栄を満足させるだけじゃないか。
だからって何だってんだ。だからあの天上の星達と比較してどうしよってんだ。そんなの自らの生の儚さを自覚するだけじゃないか。
ふいっと一瞬で消え去るこの人類。ふっと一劫(いちごう)で流れるようなこの生。
私は生きている。
人類が巨大な竜のように勝手に蠢(うごめ)き、私には如何ともし難い。
同時に4つある。
私の気持ちは肉体の効用で左右され過ぎる、決心や決意や約束は破らないにしても。
いくら禁欲的に送っても、5つ同時にある。
過去より多くの他者より人類生存が、私を産み出したのは解っているのだろう。粛々と突き進めよ。
くだらなく迷い無く不幸なく、死という大海に流れていけるのだから。
過去より多くの他者より人類生存が、私を産み出したのは解っているのだろう。轟々と突き進めよ。
聖性に至高に加速度に、個人や「私」という煌きが沸き出でるのだから。
何と細々と、何と僅々(きんきん)と、何と性に動かされ、何と理情聖しかない。
私。
「私」。
立ち止まる。
星達をみる。
私は其処にはいない。其処にはいけない。其処には届かない。其処には。
執筆者:藤崎 道雪