卑猥で極悪で不道徳でさめざめで皮肉な行動をしていく時ほど、純文学が読みたくなってくるものだ
個般的な狂気が肉体に安楽でスローな浮遊感を与えてくれる
艶かしい漆黒の海に抱かれて、バターのように蕩(とろ)けだす三日月が、全ての五感を惑わして惑わして
ぷかぷかと
いつか陸地に戻って弱肉強食に放り込まれるまで
いつか停止が音連れて土塊(つちくれ)に放り込まれるまで
ぷかぷかと
ぷかぷかに不道徳の身を委(ゆだ)ねて目蓋(まぶた)を閉じる
追記:原題は「バターの誘惑」です。
執筆者:藤崎 道雪