風呂上りから十数分が経ったおでこを左ひざにそっと触れさせた。
うっすらと浮き上がる透明の脂がもう出てきていて、左右に揺らすと不思議な暖かさが脳内に広がった。
大き目の紺色の椅子に立てた左ひざは、水色パンツ一枚だったからクーラーが少し寒くて丁度良かった。
一層サラサラになった短髪を両手で撫で上げると、もっともっと頭の中が柔らかく気持ち良くなっていった。
思い出すのは君のこと
少しはにかんだ視線がとっても可愛くて思わず微笑んでしまったこと
思い出すのは君のこと
さわろうかな、でも暑い季節だからな、ってドキドキしてしまったこと
思い出すのは君だけのこと
少しの涙が嬉し涙になってくれたらなって、帰り際の暮れていく紅色を見ながら感じたこと
思い出すのは君だけのこと
ちょっとでも少しだけでもどんな仕事をどんな日常を送っているかなって、後1つ、君までの交差点で不安になったこと
すりすりすり
君にこんな風に甘えてもらえたらな
一緒の時間を過ごせるようになったらな、なんて想像して
恥ずかしくなってもっともっと、すりすりすりすりすりすり
眼を開けたら、両目を開けて頭を上げたら、君からのメールが来ているかなってドキドキ
ドキドキ ドキドキ