なにものにもならなくても、成り合わぬところから娘になり母になり老婆になる
母の愛を求めるものであって、母の愛を与えるものにうつれるのは四季のうつりかわりのように自然で
なにものにもなれないのかもしれない、という成りあまりの私たちは心の奥底では空しさを恐ろしさを
どうして四季のうつりかわりのように無理なくむりなく、ただただあらないのだろうか
本能とホルモンに左右されず、気分も性格も左右されず好きなものを獲得しようと突っ走れる
父の愛を求めないのであって、父の愛を与えようとするのは独善と偏見と羞恥が渾然一体となっているのを
何者にもなれないのかもしれない、というなり合わぬの私たちは心の奥底では頼もしさを羨ましさを愛おしさを
どうして神のように超人的に遍く転がり落ちている石ころから上昇して天下を天を目指さないのだろうか
あるものにあらなくても、与え合わぬところから動物になり人になり人間になる
人の愛を求めるものであって、人の愛を求められるものにうつれるのは、ただあるものの自然で
ないものにもなれないのかもしれない、という得られ合わぬ私の心たちの奥底では空しさ羨ましさ恐ろしさを
どうしてベタベタと空中の湿度のように生存に不可欠のように、あるものが私の心たちにも不可欠でどこまで行っても拭い去れないのだろうか