10日間の入院生活は あこがれだった 食っちゃぁ寝 の生活だった 手術が終われば 点滴とリハビリの他は何も用事がない 入院が決まった時 真っ先に考えたのは何を読もうかということ 市の図書館のではなくて 自分の本を読もうと思った それで 用意したのが 京極夏彦の 「後巷説百物語」 あとは お見舞いに来てくれたパート仲間が差し入れてくれた2冊の本 きっちり 読み終えて帰ってきた リハビリも日を重ねると話相手が自然と何人かできてきて 談話室でお茶を飲みながら それぞれが自分の病気の披露をして時間をつぶしていた 主婦にとって 上げ膳据え膳 という夢のような生活にもかかわらず どの人もみんな 家に帰りたがった もちろん私だって! 人はやっぱり 非日常は好まないのだ
病院の眠れぬ夜に咳聞こゆ
点滴と痛みなければ そこそこに
病院の長い一日今日もまた
点滴のノルマこなして昼ごはん
冬日らし 点滴越しの空を見る
寒いわよ 来てくれし人 皆が言う
別世界 街ゆく人は寒そうな
どんよりと ビルにかぶさる 雪雲か
痛みとれ 雲の流れに 吸い込まれ
今日もまた 雲の流れを見て過ごす
病室の 四角い空に 雲ながる
雲 切れて 空が広がる 枯れ木立
暮れていく街を眺めて 迎え待つ
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