僕は禿げる。(中略)それでも歌を聴いてくれますか?
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2006年03月28日(火) 櫻の木と櫟の木

霧雨の振る中、カブトムシを採りに行った僕は父とはぐれてしまいました。幼い僕は泣く事もせず、櫟の木を中心とした雑木林の中を雨に濡れてさらに香りを増した樹液や葉のにおいを嗅ぎながら、踏み込むと少し靴を汚すくらいに埋まる腐葉土の地面を歩いてなだらかな斜面を奥へ奥へと歩きました。

どうしてその景色の中で僕が傘を差してなかったのかわからないけれど、霧雨は暖かくて坊主頭の髪の毛と眉を辿って落ちていく水がすごく優しく、心地よく感じていました。

時間と関係なくなったような霧の中、斜面を登り切った位のあたりで雑木林が突然途切れ、少し開けた場所へ出ました。膝くらいまでの高さの草が一面に生えていました。その草の先に、雨に濡れているせいかわかりませんが、幹の黒く見える葉の色の薄い木が立っていました。長い年月この場所にいたであろうその木は、多すぎるほどに茂らせた葉を霧雨に輝かせていました。幼い僕は櫟の林から出ないで、それをただ立ち尽くして見ていました。


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