Dance日記帳
モクジ|キノウ|ヨクジツ
「見られつも雲の上」長唄 汐汲 より 空を仰いでも、月は雲の上にあると、雲上人の行平を思うて、果敢ない恋を歎いているのである。(花柳流舞踊譜本)
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週に一度の修練の日。 自分に此処までストイックな部分があったのかと不思議に思う。 此れ程迄に稽古に集中するのは何年ぶりなのだろうか。 舞台があるわけでもない。 単純に、「踊りたい」という欲望のみが満たされる稽古。
稽古場に入り、両手をつき正座で挨拶した瞬間から、雑多なことは全て忘れ、踊ることだけに集中する。
洋舞は「動」、日舞は「静」と言われることは、そのものを稽古したことがない人も耳にしたことがあるだろう。
ターンやジャンプや激しいステップなどで表現するジャズとは違い、身体を沈め、最少限の動きに思いを込めるのが日舞だ。 三味線の音と唄を身体の奥底で受け止め、ひとつひとつの動きに注いでゆく。何とも繊細、かつ忍耐力のいる舞踊だろう。
MDSの発表会に出演する人のなかには「覚えが悪い」「動きが鈍い」などと、悩む人もいる様子だが、私の稽古の姿を見たら、そんな不安などなくなってしまうだろう。 それくらいに師匠に怒鳴られ、手や腰を掴まれているのだから。 「どっちの足なんだいっ?」「いったい何処を見ているんだい?」と次々と叱られる。その度に自信のない私はオロオロするのだ。
こうして、日舞で扱かれる立場だからこそ、MDSのみんなの不安なキモチは手に取るようにわかる。 まだまだ学ぶところは山ほどあるのだ。
明日から怒涛の週末突入。 少しでも体力温存のため身体を休めることにする。
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