また帰って来たロンドン日記
(めいぐわんしー台湾日記)
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2004年01月15日(木) |
【映画】オーディション |
これは去年の年末に、イギリスのテレビでやっていたもの。イギリスで最近テレビでやる日本映画といえば、「リング」など、この手のモノがよく目につく。ほかのものもやっているのかもしれないが、、、。北野たけしの映画がこっちでは結構受けているせいか、自称「日本映画好き」のイギリス人に「どうして日本映画はこんな暴力的で残酷なものばかりなのか?」と質問された。イギリスでどんな日本映画が多く公開されているかがわかる一言。
【allcinema ONLINE より】
オーディション (2000) 上映時間 115 分 製作国 日本 公開情報 アートポート 初公開年月 2000/03/03 ジャンル サスペンス 《公開時コピー》 キリキリキリ …… 恐いでしょう? キリキリキリ …… 痛いでしょう?
監督: 三池崇史 製作: 福島聡司 陶山明美 製作総指揮: 横浜豊行 原作: 村上龍 ぶんか社刊 脚本: 天願大介 撮影: 山本英夫 美術: 尾関龍生 音楽: 遠藤浩二 出演: 石橋凌 Ishibashi Ryo 椎名英姫 國村隼 松田美由紀 大杉漣
月刊誌「ペントハウス・ジャパン」に連載された村上龍の原作を、今や日本映画界の救世主的存在である三池崇史が監督したサイコ・スリラー。ビデオ制作会社を経営している青山は7年前に妻を亡くし、一人息子の重彦と寂しい日々を過ごしていた。そんなある日、青山の身の上を案じた友人の吉川は青山にとんでもない提案をする。それは映画制作と称したオーディションを開催し、その中から再婚相手を探せというものだった。そして4000通もの応募の中から選んだ女性、麻美に加速度的に魅了されていく青山。しかし彼女の愛は余りにも真っ直ぐで完全なものだった……。
【感想】
うーん。痛いねぇ。印象的なのは針を差し込んでいく時に麻美が言う「キリキリキリ」という言葉を「deeper」と英訳しているところ。上記の解説には三上監督をして「日本映画界の救世主」としているが、どうなんでしょうか? 俺的にはただの痛い映画で、脚本的にも新鮮味や面白さはあまり感じなかった。原作は読んでいないのでわからないが、村上龍はこの程度か、、、という感じがした。もちろん「りんぐ」「らせん」の原作を読んだあと映画を見て何も感じなかった経験があるので、ここで村上龍に言及するべきではないのだが、、、。
やっぱりこういう最近の日本のホラー映画って、どうしても地に足がついてない感じがしてしまう。「りんぐ」「らせん」の原作は、俺は日本の「文学作品」として高く評価している。原作の時点では「地に足がついて」おり、作者の意図が鮮烈に表現されているのに、映画化された時点でどうも「根無し草」になっているような感じを受ける。浅く感じてしまうのだ。映像作家達が何を考えて表現しているのかが見えてこない。映像的なエキセントリックさのみが強調されて、内容のないハリウッド映画同様の印象を受ける。もしかしてそれが彼らの表現なのだろうか? アイデンティティー自体が宙ぶらりんになっているから、彼らによって映像化された作品を見てがっかりしてしまうのか?
例えば、俺はどちらかというと、昔の角川映画「犬神家の一族」や「八つ墓村」のようなどしっとした「安定感」がほしい。そうじゃなければ見ていて安心できない。ホラー映画を見るのに安心というと変だけど、要は中に引き込まれていかないということだ。「犬神家の一族」が「オーメン」などと同様にぐいぐいと引き込まれていくA級ホラー作品とするなら、「りんぐ」「オーディション」は「湯殿山麓呪い村」同様にB級でつまらない(言い過ぎ??)。B級C級ホラー好きにはたまらないかもしれない。
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