また帰って来たロンドン日記
(めいぐわんしー台湾日記)
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2004年01月26日(月) |
古賀議員の学歴詐称疑惑に思う |
福岡選出の民主党古賀議員の、いわゆる「学歴詐称疑惑」の報道を見ていて少し複雑な気持ち。実際、留学中の彼にどういうことがあって、それがどういう意味を持つのか知る由もないことだが、海外留学というのは、華やかな表向きとは反対に、一般的に実は結構暗い部分もあるからだ。
もちろん今俺が言っていることは古賀議員とはいっさい関係がないが、いろいろ思ってしまう。
日本人はまだまだ西洋に対する憧憬が強く、どうしてもひいき目に考えがちだ。そう言う国に留学に行く人間は、日本に帰って来て日本人と接触し、コミュニケーションをとる際に、基本的にはその国での生活、人々、文化などなどに対するの批判的な意見(=文句)を言ってはいけないことになっている(笑。
こういう言い方は、いささか被害妄想的な響きを持ってしまうが、要はあまり歓迎されないということ。西洋に対するネガティブなイメージはみんな欲していないということだろう。それはあたかも「欧米に留学」という文言が、自分の経歴として「使える」のだという事と対をなしているかのようだ。
もちろん欧米の話に限らず、あまり明るくない話題は話していて楽しいものではない。いわんや、同じ経験をしていない人には当然である。そう言うのもあって、今年の目標にロンドンのいいとこ探しを選んだわけだが、この年頭の抱負、なかなか今の生活の中でよく機能している。
ただ、やはり思うのは、海外生活というのはどうしても思い掛けないことが起こってしまうのだ。それは常識で考えてどうしても起こりえないことが起こってしまうということでもある。例えば、あなたはイギリスに留学して大学院に入学した、あなたはよく勉強して修士論文を書き上げた。しかし、あなたの担当教授はどうしたわけかあなたの論文を落としてしまう。そして理由は説明されない。ほかの有名大学の先生に見せると問題のない論文だという。ただあなたの担当教授はマークをくれない。
俺はこういう人に対して「君の努力が足りなかったからだ」とは決していえない。「なんでか?」という問いかけは、この理不尽きわまりない状況のもと、当事者である本人でさえそれを知りえないという事実の前にはなはだむなしく響く。敢えていうとすれば外交的、政治的戦略が不十分であったということか、いや、そんなことはどうでもいい。俺はただ、自分もそういうような状況に遭遇しうるというリアリティーがある。そしてその状態の中にいる時は不可避なことのように思えてしまう。本当にhelplessな感覚、どうしようもない無力さを自分に感じる。しかしその行き止まりを受け入れ、乗り越えていこうとするときにはもう、海外留学で得られるタフさが自分のものになりつつあるかもしれない。
人は海外留学をすれば光り輝けるのではない。有名大学を出ていい企業に入れば光り輝けるのではない。どんな状況であっても、自分の可能性を信じ、自分の中から自然とわいてくる主旋律に耳を傾け、その時その時を自分として生きていくことで光り輝く。俺はこのくすんだ町ロンドンで精いっぱい光り輝いていたい。
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