また帰って来たロンドン日記
(めいぐわんしー台湾日記)
DiaryINDEX
|past
|will
2004年01月30日(金) |
【ほん】だからあなたも生きぬいて |
大平光代 著「だから、あなたも生きぬいて」
【紀伊国屋BOOK WEB より】
だから、あなたも生きぬいて 大平 光代【著】 259p 19cm(B6) 講談社 (2000-02-22出版) ISBN:4062100584 [B6 判] NDC分類:289.1 販売価:\1,400(税別) 著者は、中学2年のとき、いじめを苦にして自殺を図る。 その後、坂道を転げ落ちるように、非行に走る。 16歳で、「極道の妻」になり、6年間、その世界に生きる。 現在の養父・浩三郎さんに出会って、立ち直り、「猛勉強」の末に、29歳で「司法試験」に合格する。 現在、少年犯罪を担当する弁護士となって、4年たつ。 涙もいっぱいでるけど、元気もたくさんでる本です。
第1章 いじめ 第2章 自殺未遂 第3章 下り坂 第4章 どん底 第5章 転機 第6章 再出発 第7章 司法試験に向かって 第8章 難関突破 第9章 後悔
【感想】
実はこの本、2年前に実家の母が乙武洋匡の「五体不満足」とともにロンドンに送ってきた本。なんでこんな本を2冊も送ってくるのか悪い冗談だとさえ思っていた。というわけで、当時はあまり読む気がせず、読んでもどうもすっきりしない気持ちが強かった。個人的にはこの2年間に俺の中でいろいろな変化があったせいか、今回読み直してみて前回と読み方や感じ方が全然違うのがすごく面白かった。
さて、この人の半生はとにかく波乱に富んでいる。いじめを受け割腹自殺を図ったり、極道の妻になって背中に入れ墨を入れたり、そして最後には司法試験に受かってしまう。ま、こういう言い方をすると、やはり波乱万丈さが非常に分かりやすくてびっくりしてしまうのだが、今回読み直しての俺の感想は、なんとも微笑ましく「こんなに分かりやすくなければ、やっぱり普通の人」という感じ。宅建、司法書士、そして司法試験と次々に難関を突破していく様は、やはり普通の人とはいえないが、それでも敢えて俺は普通の人といいたい。それはどこかで俺が著者に親近感を感じているからかもしれない。もしくはなんともいえない素朴さを感じるからかもしれない。
変な話だが、前回読んだときは、読み終えたあと「この人これで本当に幸せなのかな?」などと強く思っていた。今はそういう感覚は全然ない。今回は前回感じたような気持ちをほとんど感じることがなく、逆に感情移入もしなかった。それはすなわち、俺が勝手に著者の気持ちを「判断」をしなくなったということでもあった。単純に面白い読み物としてすらすらと読めた。こういう本について誰かとディスカッションが出来ると面白いと思うけど、それはやはり「何かから立ち直ろうと」「自分で決めた」人同士でやるのが、お互いに違う観点が見えて面白いのかもしれない。
かなりのベストセラーになった本らしく、現在は文庫版や英訳版、CDブックなども発売されている。
|