また帰って来たロンドン日記
(めいぐわんしー台湾日記)

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2004年03月22日(月) ロンドンで盲腸の手術をする(3)

 (3月24日(水)に記入)

  昨日から続く→


 あさ6時をまわって、やっと安眠できるという期待感。しかし今日までに提出しなければならないレポートがあるので、早起きして付属資料を作成して(実際には本の図表をコピーして切り張りしてまとめるだけ)、レポート本文と一緒にクラスの人数分コピーしておかなければならない。授業は午後3時からで、このときにレポートを配り、クラスで軽くプレゼンをすることになっている。とりあえず寝ることにする。

 9時半ごろ起床。やはりまだ下腹部に違和感がある。お灸パワーで一時的には奇跡的な回復を見せてはいるものの、盲腸炎の疑いはまだぬぐいきれない。日系の病院に電話して予約をとる。2時20分の予約がとれる。

 とりあえず学校に行きコピー。会いそうだなーと思っていたら、案の定、学校の前でクラスメートにすれ違う。

 俺 「今日、俺の顔色どう?」
 彼女「うーん、あまりよくないね」

病院の予約が2時20分なので、授業には遅れるかもしれないと伝える。なんか身体がだるい。おなかが空いてきたので、学校の売店で、いつもなら絶対に買わない「すしセット」を買う。さけ、さば、えびのにぎり、そして小さなツナの巻きずしが二切れ入って3ポンド50ペンス(700円)。それとイチゴの飲むヨーグルトを買って、大学本館前のベンチで昼食。

 今日もけっこう暖かい。そうそうに食べ終わってオールド・ストリートOld Streetにある診療所へ向かう。2時過ぎには到着。すぐに診察を受ける。先生に一通り症状を言う。

 先生 「最後に食事をしたのはいつですか?」
 俺  「さっき少し食べましたけど」
 先生 「あー、そうですか。」
 俺  「食べないほうがよかったですかねぇ?」
 先生 「いや、もう食べてしまったものはしょうがないからね」
 俺  「???」

ベッドの上に横になる。いろんなところを押されたあとまたイスに戻る。

 先生 「結論を申し上げる前に、一通り検査をしておきましょう」

血液検査とエコーをやることに。エコーはゼリーが腹部に塗りたくられて変な気分だった。実はこの病院で血液検査を担当しているひととは知りあいなのだが、採血したあとの検査結果をみて駆け寄ってきた。

 彼 「ちょっと、だいじょうぶ?」
 俺 「俺は大丈夫だけど、炎症出てたの?」
 彼 「出てるよ。って言うか、かなり出てる。」
 俺 「そうなんだ。それってやばいのかな? やっぱり虫垂炎かな?」
 彼 「診断は担当医が下すので、僕はいえないんだけど、ばりばり盲腸っぽいね。」 

ここにきて、急性虫垂炎(盲腸炎)である確率が急激に高くなってきた。ちょっとどきどき。でも、なぜか俺はもう腹をくくっている。この事態を楽しもうとさえ思っている。先生に呼ばれ、再度診察室へ。

 俺 「どうですか?」
 先生「下腹部の痛みには通常2種類あって、ひとつは泌尿器科系、ひとつは腸です。
    尿検査の結果、異常が見られないので腸の方の可能性が高いと。    
    で、可能性としては90パーセント盲腸だと思います」
 俺 「そうですか、、、。」
 先生「あとの10パーセントは三つの可能性があって、、、」
 俺 「最近は手術しなくても抗生物質で治す方法があると聞きましたが、、、」
 先生「手術ですね。出来れば今すぐがいいです。
    どんなに遅くとも明日の朝までですね。保険はありますか?」

 即座に日本の保険会社に電話をさせてもらうが、日本時間は夜中で担当者がいない。親に電話して手術を受ける旨を伝え、自分の持っている保険が盲腸炎をカバーしているかどうか確かめてもらうように言う。紹介状をもらいアールズ・コートEarl's Court駅の近くのクロムウェル・ホスピタルCromwell Hospitalに向かう。オールド・ストリートからはキングス・クロスKing's Crossでピカデリー線に乗り換えれば一本でいける。駅までゆっくりと歩いていく。オールド・ストリート駅に着くと、入り口に若いホームレスが一人座っている。

 俺 「ハロー。」
 ホ 「どうもありがとう。」
 俺 「これから手術することになってね」
 ホ 「そうなんだ。やっぱり目が悪いの?」 
 俺 「いやいや、盲腸」
 ホ 「そうかぁ。すぐそこに目の病院があって、そこの患者が多く通るから目かと思った。
    俺も昔盲腸はやったことあるよ。
    たいした手術じゃないしよくあることだからきっとうまく行くよ。」
 俺 「ありがとう! いい一日を!」
 ホ 「うまくいくといいね。どうもありがとう!!」

財布の中の小銭を彼に渡すと地下鉄の駅の方に向かった。ホームレスの彼は大きな声で何回も礼を言って、きっとうまく行くよと親指を突き立てた。(つづく)


付録【一口英語教室】

・盲腸炎(虫垂炎) appendicitis(アペンディサイトス)
・泌尿器科系 urology(ユオロロジー)
 蛇足ながら日系診療所の医師が、大腸付近を図解しながら告げた
 その他3つの可能性とは
  1、diverticulitis(憩室炎)
  2、lymphadenitis(リンパ節炎)
  3、ileocolitis(回結腸炎)
 だった。

・ホームレス homeless guy
・ハロー hello 
 言わずと知れた挨拶の言葉だが、カジュアルには
 「Hi ya!(ハイヤ)」なども使われる。
・ありがとう Cheers, mate!(チアーズ、メイ)
 これまた非常にカジュアルな言い方。mateを「マイ」と発音すると、
 ロンドンの下町言葉コックニー・アクセントcockney accentになり地元化が加速される。
 ハローと言うときにHello mate!と言ってもいい。mateは友達という意味。
・いい一日を have a good day
・うまく行くといいね Good luck!
・小銭 change
 ロンドンのホームレスがよく言う言葉に「Spare change, please」がある。
 「余分な小銭があったらください」と言う意味。
 ロンドンのホームレスは、昔サンフランシスコに行ったときにからんできた
 アメリカ人のホームレスに比べおとなしく、礼儀正しい印象がある。


倉田三平 |MAILHomePage

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