また帰って来たロンドン日記
(めいぐわんしー台湾日記)

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2004年03月23日(火) ロンドンで盲腸の手術をする(4)

 (3月28日に記入)

  昨日より続く。


 レントゲン写真、血液検査の結果と紹介状を携えノーザン線ホームへ。エスカレーターを下るときにもめまいがする。地下鉄の電車に乗り込む。今思えばけっこう意識朦朧としていたような。二つ先のキングス・クロスでピカデリー線に乗り換え。ここからは一本でアールズ・コートにつく。

 日系診療所で持たされたレントゲン写真が大きすぎて座っても居心地が悪く落ち着かない。ヒマなので本を読もうとするが、持ってきた本が「『春秋』と『左伝』 戦国の史書が語る史実・正統・国家領域観」しかない。何もないよりはいいのでこの本を読むことにする。うーん。こういう本は調子のいいときに読むものなんだなぁ、、、。

 アールズ・コート駅到着。歩いてクロムウェル・ホスピタルへ。この病院は以前に耳が痛くなったときに検査にきたことがあるのと、すぐそばに住んでいたこともあるので、すぐにたどり着くことが出来た。


 受付で名前を告げるが、どうも要領が悪い。

 俺 「ハキム先生にお会いしたいんですが」
 受付「ハッキーム教授は今日お休みです」
 俺 「先程、日系の診療所から紹介されてきたのです」

 いろいろと埒のあかない話をしていると、隣の席からその件は承知しているとの声が聞こえてきた。

 「お呼びしますので、しばらく待合室でお待ちください」

しょうがないので待つことにする。ヒマなので携帯のメッセージを友達に送りまくる。フィンランド人のクラスメートペッテリから電話がかかってくる。

 ぺ 「今どこにいるの?」
 俺 「病院についたところ。待合室で待ってる」
 ぺ 「病院の中で携帯出ていいの?」
 俺 「みんなそうしてるからいいみたい。日本じゃだめだけど、、、」
 ぺ 「これからどうするの?」
 俺 「とにかく診察を受けて、たぶん手術かな」
 ぺ 「誰か一緒にいる? それとも一人?」
 俺 「一人だよー、、、。」
 ぺ 「そっちに行こうか? 今日は予定もないし。」
 俺 「まじ?? たのむよー」

ということで、ペッテリが付き添いにきてくれることになった。待合室で待つこと15分。愛想のよい東洋系の若い男が近寄ってきた。

 男 「ミスター・クラタ?」
 俺 「はい」
 男 「こちらへどうぞ」

と、待合室のすぐ横の小さな部屋に案内される。こんなにすぐそばに診察室があったのか。と、思ったら、どうもなにかが違うようだ。まず氏名、住所、電話番号の確認。そして、

 男 「病院内で出来ることや規則について一通りかいてありますから
    理解したらサインしてください。」
 俺 「はぁ」

さーっと目で追ってサインをする。こんな状態でいちいち外国語でこまごまと書かれた文書を理解できるわけがない。

 男 「ではですね、まず保証金として2000ポンド(40万円)
    払っていただきます。
 俺 「はい?」
 男 「これからの手術、入院費用のうちですね、
    先に2000ポンド払っていただくことになります。
    足りない分はあとで追加して払ってください」
 俺 「え?」

この人、どうやら支払い担当の人らしい。日系診療所での診察は急性盲腸炎だったが、ここの病院では診察も受けていないのに、もう入院とか手術とか決まっているのか?

 俺 「まず、ハッキーム先生に診察してもらうんじゃないんですか?」
 男 「あとで診察されますよ。で、どうやって支払いますか?」
 俺 「あぁ。クレジットカードで、、、」

そんな大金を支払う準備など出来ていないのでパニクる。クレジットカード2枚で何とか払うことができた。

 男 「はい。では準備は出来ましたよ。もう一度待合室でお待ちください。」

待合室の戻ると、もう既に違うひとが俺を迎えにきていた。

 違う人 「ミスター・キュレイータ Mr. kurata?」
 俺   「はい。クラタです」
 違う人 「オーケー。こっちにきてください。」

その人について、病院の中へとはいっていく。エレベーターに乗って上の階に行くらしい。エレベーターが着いて戸が開く。と、顔をベールで完全に隠した中東系の女のひと達が3人現れる。この人達、なぜかエレベーターの中から出ずに、お互い何かを言い合っている。言葉がぜんぜんわからない上に頭から足下まで黒ずくめで覆われているので、こっちからするとかなり異常な行動を取っているように見える。しばらくすると、3人のうちふたりが降りてひとりがエレベーター内に残ることになったらしい。我々もエレベーターに乗り込む。

 エレベーターを降りると、ここは病棟の入り口らしい。

 違う人 「これが通行証です。これがパスワードね。」
 俺   「あ、この3284ってやつですね」
 違う人 「そうそう。パスワードは毎日変るからね」

かなりセキュリティーの厳しいところらしい。今渡された通行証を見ると、俺の名前のつづりが微妙に間違っている。なるほど、それで「ミスター・キュレイータ」だったわけだ。ナース・センターのようなところに到着。

 違う人 「240号室だから、、、こっちですね」
 看護士 「ちがうよ。244号だよ」
 違う人 「ごめんなさい。じゃ、反対だ。」

なんともきれいな個室の病室に到着。


 あれ??? ちょっと待って!!
 診察はしないで即入院なのか?

(つづく)



  付録【一口英語レッスン】

・レントゲン X-ray(エックス・レイ)

・エスカレーター escalatorで良いと思っていたら、 イギリスではmoving stairsというらしい。
         この前エンジェル駅前のワーナー映画館でエスカレーターを前にしたイギリス人が
         うれしそうにこう言っているのを聞いた。

         北京語では電動扶梯dian4dong4fu2ti1(ディエンドン・フーティー)
         または自動扶梯zi4dong4fu2ti1(ズードン・フーティー)

・地下鉄 underground(アンダーグラウンド)
     口語ではtube(チューブ)もよく使う。
     subway(サブウェイ)は米語。
     イギリスでsubwayというと「地下道」という意味になる。

     フランス語ではmetro(メトホ)
     北京語では「地鉄」di4tie3(ディーティエ)
     広東語では「地鉄」deih-tit(デイティッ)
     台湾の首都台北では地下鉄のことを「捷運」jie2yun4(ジエユン)という。
     
・「春秋」 中国の古典。英語では直訳して"Spring and Autumn"

・エレベーター lift(リフト)と言うのがイギリスでは一般的。
        アメリカでは日本語同様elevatorというらしい。
        車で送ったりするときに I will give you a liftとかも言う。
        北京語では「電梯」dian4ti1(ディエンティー)

・中東系 Middle Eastern(ミドル・イースタン)
・イスラム教徒 muslim(ムスリム)
・ベール veil


倉田三平 |MAILHomePage

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