早瀬の呟き日記

2004年12月13日(月) 大河総括

このドラマを心置きなく楽しめたのは、私がもともと新選組に関して「好きだけどそんなに詳しくない」人間だったからだと思います。思い入れが深まりすぎて本編が楽しめなくなるという経験を何度かしているので、今回あまり先入観(「私の××様はこういう人!」など)なく三谷新選組と向き合えて、実に幸せだったと思っています。「燃えよ剣」も「草莽枯れゆく」も読んだ筈なんですが、殆ど印象に残っていない(笑) 我ながら不思議です。もしかしたら、このドラマに出会うためかもしれません(笑) 史実との整合性を求めても無駄だというのが早い段階で察知できたので(笑)余計なことを調べたりせず、画面内だけであれこれ楽しむという流儀を貫いたのもよかったのでしょう。ちなみにフランス語の「histoire」には「歴史」と「物語」という両方の意味があります。まあそんなもんです(笑)
では以下、このドラマの良かった点と悪かった点を。

●1話の池田屋事件カットバック失敗
冒頭の掴みとしてこの事件を持ってくるのはわかるのだが、長丁場のドラマで無理にカットバックにすると後で噛み合わなくなるという失敗。結果的に完成度においてキズになった。これは完全に脚本家のポカ。
●結局皆「いい人」なのか?
隊内のほぼ全員が「いい人」になってしまい、何だかな、という感じではある。何も観柳斎まで改心させることはなかったんじゃないか。カッちゃんからカタルシスウェイブ(古)でも出てんのか。従って隊内分裂の経緯に些か無理を感じた。まあ、「誰も望んでないのにやらなくちゃならない」というのは組織の理不尽の典型ではあるが。ついでに斎藤が早くから悩みすぎて後半の「俺のようにはなるな」のインパクトが減じたのも同様の理由。
●ロケよりスタジオ撮りが多かった
これはもう局長スケジュールのせいとしか思えないのだが、戦闘シーン少なかったよな(笑)
●終盤展開早すぎ
脚本家は「計算ずくでの配分」と言っていたが、だとしたら完全に描写と効果の計算ミスである。結末から逆算して作っているから皆が揃っている時期をできるだけ長くしたいのはわかるが、崩壊過程が急ぎすぎという印象は拭えない。折角これまで役者陣の演技を大事にしてきたんだから、終盤でも丁寧に描くべき。

では良かった点。
○個性的な脚本と役者陣
無難な教科書ストーリーに有名俳優を当てれば出来る大河ドラマで、それをしなかった新しさは評価に値する。これ以降の大河でも脚本家の個性とそれに噛み合った役者の個性を尊重する作り方ができる筈。逆に言うとハードルの高い条件ではある。
○策略家西郷隆盛
偽官軍事件で相楽を見殺しにしたことを知って以来、私は西郷隆盛を胡散臭い奴だと思ってきたので、今回そういう面が描かれていて面白かった。
○オリジナルキャラの活写
これまでの大河では、大抵オリキャラは浮いていた。いかにもな初恋の女性だの、いかにもな謎の人物だの、あまりにも見え透いていて興醒めであった。というのは、全体が無難な教科書記述なのにそこだけやけにイロモノだからである。しかし、捨助は話に溶け込んでいて違和感がなかった。「そんなアホな」な展開でも興醒めには至らなかったのは、やはり全体のカラーと調和していたから。それってつまり全体が「そんなアホな」色だったということでもあるが(笑)

要するに、長所短所共に作家性に根差していると言えよう。並べてみると欠点の方が多そうだが(細かいことを言えばもっとあるし/笑)、しかし数の問題ではない。数々の(笑)短所を持ちつつ、毎週欠かさず見るほど面白かったのは間違いない。出会えてよかった。ありがとう。


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琳 [MAIL]