カンラン
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2007年05月17日(木) 記憶ポケット

めぐりあわせとはおかしなもの。
衣裳ケースの奥から引っ張りだして着たのは、花柄のワンピース。
かたづけの最中に指先が触れたのは、緑色のジャケットのCD。
どちらも私が大学生だったの頃の愛用品。

最初のうちは、ふわっとしていて懐かしい。
マンションの壁がやたら薄かったことや、ドアやエレベーターがピンクだったこと、裏には大きな酒屋さんがあって、ひとりでワイン買って飲んでトイレでつぶれたこと。

おかしなことまで思い出して吹き出しそうになるのに、なんでだろう。
早足で坂を下るように淋しく淋しくなる。

そうして、愛しいはずの思い出から身を隠すように、音楽をとめる。最後の最後まで、転げ落ちてしまうその前に。





『ただ、君を愛してる』
悪い人がひとりも出てこない映画。
ただただ真っすぐ涙を流したいときに。
―「好きな人が好きな人を好きになろうと思っただけだよ」


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