カンラン
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弟あての郵便が「○○ ○先生」という宛名で届くようになったのが可笑しい、と母。
弟は父の仕事を継ぐ。「継いだ」にはまだ到っておらず研修中の身。このたびようやっと試験に受かって、今は新潟でひとり暮らしている。
「先生」と言えば。 数年前、高校の事務室で働いていたころの上司に強烈な人がいた。 その人にかかれば、世の中は問題だらけ。そんなにつっかかってばかりいては、さぞかし生きにくかろうとことあるごとに思った。
とある休職中の先生あてに給与明細等の書類を送付しようとした際、封筒に書いた「○○ ○○先生」という宛名がその上司のレーダーにひっかかった。
ちょいちょいちょい、と呼ばれ(他の職員に聞かれないように)、 「学校の中では先生。でも外に出ればただの人」 と指摘をうけ、書き直すことに。 私は面倒なことを避けて通る人間なので、言われれば言われたように直す。そしてそれは正解だった。間違いなく、その人との関係においては。
「表札はなぜ主人(その人の言い方だと「配偶者」)を一番上に書くのか」 「なぜあなたは校長(この肩書きにすら疑問を感じて「校先生」と呼んでいた)に一番にお茶を出すのか」
などというボールを投げてこられるので、「えへへ」とか「そうですよねー」とかせこいボールの返し方をした。私はじゅうぶん無知な人間だが、必要以上に何重にも無知なふりをしたのだ。 自分の考えなんぞを言って論争になるよりも、自分が馬鹿になる方がよっぽどましだ。
ちなみに「先生」(宛名)の件。 毎年お正月、幾通か「先生」宛ての年賀状を書くため、そのたびに例のエピソードを思い出し、「すみませんねえ」と心の中でつぶやいては「先生」と書かせてもらっている。
おそらく、世の中の先生は、「先生」と書かれて不快な思いをすることはないだろうと思う。ゆえに先生同士で「先生」「いや、これはこれは。先生」などと声掛け合ったりするんでないの。(そして、そういう光景を見てるとちょっとおもしろい)
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