カンラン
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そうそう、神様はいるよ。 それがいわゆる神様ってやつなのかどうかはわからないけど。
おじいさんのそのまたおじいさんぐらい近しいひとなのかも知れないし、まったく見ず知らずのひとかも知れないし。 でも、そのテのひとがかならずいるよ。
誰かを妬んだり、心の中で悪態をついたり、何かを投げ出してしまいたくなったり、人恋しくなったり、夕暮れの砂場の縁に腰かけて煙草の変わりの木の枝を玩んでいたり、日も高いうちからお酒に手を出してみたり。 そんな私を飽きもせず今日も見守ってくれている。
人と虫と、どちらが高等かなんてわかったもんじゃない。 何度も、何度でも、何にでも、生まれて死ぬを繰り返す。
もし、そのうち穏やかな魂になれたなら、今度はこの魂が誰かを見守るのだ。 愛しい小さな地上の生命が躓きそうになってもいらぬ世話を焼かないぐらいに寛大になれたならね。
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