カンラン
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2008年10月17日(金) 自分宛て

お昼までは下がりに下がる。

内向的な自分の性格がぴのきにもよろしくない影響を与えているのではなかろうかと思いはじめ、自分ひとりのことならまだしも、ふたり分かあ・・・と悲しい気持ちになる。
明るい公園に似つかわしくないずんと暗い気分。



ぴのきが生まれた日かその翌日のこと。
お腹を切った私はいろんな管をつけられ、術後の痛みにたえながら生まれて初めての寝たきり生活を始めていた。ぴのき(その時点では名無し君)とはお腹から出てきた直後に顔を合わせたあとは、日に一度病室で対面した。
自分ではそんなもんなんだろうと思いながら過ごしていたのだが、別室のぴのきの様子を見て戻ってきた母がなんとなく口にしたひとことがうまく消化されなかった。
それは「今日出産したばっかりのお母さんがもう起き上がって赤ちゃんを見に来てたよ」というものだった。

夜になって、もやもやしていたものが溢れだした。
普通に産めていたら私もしょっちゅう自分の赤ちゃんに会いに行けていたんだ、とか、なんで私はここでじっとしているんだろうなどと考え出したら涙がとまらなくなった。生まれたてのぴのきに触れなかったことを悔いた。
人前で泣くことはめったになかったのに、その日は耐え切れずに仕事から帰ったばかりのつちのこ氏に電話してわんわん泣き喚き、消灯確認にまわってきた看護婦さんを困らせてしまった。(しかも看護婦さんに対してはもはや理由を説明するほどの冷静さも気力も持ち合わせていなかった)

頭の片隅では、きちんと、これから先嫌でもずーっと子守りの日々が待ち受けていることも理解していたのに、自分を抑えきれなかった。

産後ってそういう極めて不安定な時期なんだろう、と今になれば思う。



子育てのことで悲しくなると思い出すのは、子どもが生まれて一番最初に悲しくなったこの日のことだ。
これはきっとずっと忘れないような気がする。そして何度も思い出すだろう。



ちょっとしたできごとで深く暗い穴の底に急降下(というか落下)するのはやめたいなあ。

でも、これまたちょっとした脱出の術を見つけたのだよ。
穴に落ちるのは仕方ないけど、これで自分で這い上がれる。


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