帝王切開体験記<後編>
 いよいよ後編です。但し、ここからの話は各病院によって違う模様。色んな方の「体験記」を読ませてもらったところ、それぞれやっぱり微妙に違ってました。なので、今からカイザーを予定されている人、アクマで参考程度にしてくださいね。ここよりもっと待遇が良い病院も、もちろんあるでしょう。当然、ん?? と首を捻ってしまう病院もあることでしょうから。でも、転院4回目にしてたどり着いたこの病院は、オレとでん子にとって最高の病院でした。これだけは明言しておきます。
 では、続きをはじめますね。手術室に入ると助産婦さんの指示に従い手術台へ上がります。上がる前にマッパになりました。ええ、素っ裸ですよ。
 横になると脱いだ手術服(ピンクの水玉模様で前開きのワンピースみたいだった)を体にかけてくれました。パイパンにされた時も服をかけてくれた。これ、なにもかけないでほっぽかれるところもあるそうです。たかが布切れ一枚と侮ることなかれです。診察時にしろ手術前にしろ、かけるかけないで女性にとってどれほどの差があるか、経験者は分かりますよね。
 はい、手術台に乗った次は尿管挿入です。これは、痛いというより熱いって感じでした。その内に手洗い看護婦二名に準備の手伝いに一人、助産婦さんがもう一人やって来て手術準備完了です。左手は点滴に、右手は血圧計に拘束されたまま右横を向かされ背中を消毒される。これが冷たい。冬場だとちょっと辛いか? 夏場で良かった。
 先生が麻酔の準備にかかり背中に何かが当たる感触。「背骨を突き出すように」と指示されるが、何度挑戦しても失敗。「お腹を抱えるように、お臍を覗き込むように頭を下げて」と言われたが、お腹が大きすぎて膝が曲がらないし、頭も下がらんちゅうねんっ。
 「先生が押し付けている器具? 対して押し返してみて」と言われ、ようやく麻酔が入る。説明は表現が難しいが、麻酔が入った所からじわっと熱くなり、まず左足から感覚が無くなってきた。だるいって感じに近いかな? 麻酔が入るとあお向けにされ手際よく手術用の布で体の左右から包まれ、首の所で目隠し用の布が立てられた。
 その頃から急に息苦しくなり、気が遠くなりかけた。息が苦しくてできない。耳鳴りがし、目の前が真っ白になる。
 「息を吸って! ゆっくり吐いて!」
 左から声がし、目を開くと助産婦さんが声をかけてくれていた。
 必死で息を吸い、吐くを繰り返す。なんとか意識だけは失うまいと目を開き、回りの声や音に集中する。
 血圧が65まで下がっていることがわかり、先生の指示で薬が投与された。助産婦さんがその都度、説明してくれ「薬を入れたから(点滴に)すぐ楽になりますよ。血圧が下がってますからね、息をゆっくり吸って、ゆっくり吐いて」
 言われるまま、意識して息をゆっくり吸いゆっくり吐く。徐々に呼吸が楽になってくる。彼女の力強い声に救われた気がした瞬間だった。
 「もう、手術始まってますからね」 と言われ初めて下腹の辺りでの妙な感触に気が付く。両側に皮が引っ張られたような感じ。
 「赤ちゃんが出てくる時、お腹を押さえますけど我慢してくださいね」 続いて何やら圧迫感が下腹に。
 「もうすぐ赤ちゃんが生まれますよ」 腹が揺さぶられるような感覚に続き「はい、生まれましたよ」 と先生の声がした。そして待望の産声が!
 でん子が泣いてる。元気に泣いてる。やっぱりと言うか、予想外でもあったけど涙が出ちまいましたい。産声って、いいねぇ。それから産声の後直ぐに助産婦さんが「ママですよ」とまだ頭にいっぱい胎脂を付けたでん子を連れてきてくれました。それからでん子は外で待っていたパパとじいじいずとばあばに挨拶したようで、「今パパに抱っこしてもらったのよ」と頭がきれいになったでん子がもう一度逢いに着てくれました!
 ここからもう記憶が定かじゃないけど目隠しの布から先生が何度か顔を出し「頭が大きかったから(36cmあった)、逆子じゃなくても途中で切ることになったよ」とか「赤ちゃん、元気だよ」とか話し掛けてくれてました。
ところで、「赤ちゃん、げんきだよ」これは魔法の言葉だと思いませんこと? でん子が元気に誕生してくれた。そう思ったら後はもういいやって、一気に気持ちが楽になったもん。
 本当はでん子が生まれてからお腹の遠いところでチクチクと刺すような痛みが走ってたのだ。でも「魔法の言葉」で一瞬和らいだ。でん子の泣き声で忘れてた。でも、でん子が新生児室へ連れて行かれると何とも言い様のない痛みになってきてたんですね。そしたら「子宮が収縮しますからね。痛いですよ」と助産婦さん。 何それ? もう始まってんの? とオレの頭ぱにっく。だって今生まれたばかりじゃん。しかも麻酔してんでしょ? 何でこんなに痛いのよぉ〜っ!! 麻酔切れかかってる? え? 今縫ってるところよね。いじられてるのは分かるけど痛くない。でも中身はいたぁ〜い!! これが漏れ聞いた「後陣痛」って奴? めたくそ痛いんですけど。痛いっ、せんせいっ、いたぁ〜いっ!!
 と声には出さなかったが顔に思いっきり出ていたようだ。「ミミちゃん(本名で呼ばれてますってば)痛がってます」と助産婦さん。ありがとう、助産婦さん。ホントやばいくらい痛いの。「今、痛み止め入れましたからね(点滴に。既に全開で点滴中)」でも、やっぱり痛い。
 結局縫合中に痛み止めを3回打ってもらった。にも関らず全然痛みは取れなかったのだ。
 手術が終わると、なぜかマイ旦那が傍らに立っており「はい、ご主人の首に腕を回して」と言われた。訳も分からず従うと 何と! びっくり! スタッフとマイ旦那とマイ父ちゃんに抱えられ病室へ運ばれたのであった。
 そうか、それで手術室のまん前の病室だったんだ。と納得してしまった。
 布団に横になり(ここは和室)妙にハイテンションになっているオレと興奮状態の家族がここで、大話を始めてしまいした。腹痛かったんとちゃうんかい? オレ。と自分にツッコミたくなるが、だって頭がナチュラルハイ状態にぶっ飛んじゃったんだもんっ。
 余りに声がでかかったのか、それともマジでやばかったのかマシンガントーク炸裂中の部屋に、看護婦さんが「患者さんが疲れますから、そろそろ休ませてあげて下さい」と声をかけてきたのだわ。うん、彼女は正しい。熱出てたし血圧も高めだったもんね。
 それで頭を冷やされたご一家「じゃぁ、帰ろうか」←帰るんかい? しばらく側に居るんとちゃうんかいっ 
 あっさりと引き上げて行きました。付き添いにはコキ使えそうなマイ旦那を指名してあります。ええ、これからが地獄の始まりだったのですわ・・・・
 ということで「帝王切開体験記後記」へつづく。なんつってね。

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2003年07月01日(火)

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