森岡万貴 徒然記 (黒いブログ)
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| 2002年07月09日(火) |
徒然なるN.Y.紀行(5) ニューヨーク1のため息 |
今日はいよいよ本番初日です。 ソンドハイム氏とワイドマン氏もお見えになっていた昨日のゲネプロは、途中までしか出来なかったし、テクニカルトラブルもあり、不安がいっぱい。 なので、今日も本番前に通しGPが入りました。
森岡万貴、本日一番の不安材料は、
指令【朝イチでXylophone(木琴)を入れ替えるべし】
リース会社の楽器があまりにもピッチ(音程)が低すぎて、ピアノや他の楽器とぶつかりまくって気持ち悪くて耐えられないので、ついにダメが出たのだ。
今回のアレンジではこのXylophoneが大活躍で、これ1本の伴奏だけで役者さんが歌う部分もある。稽古初日から問題になってはいたのだ。 キーボードパーカッションのピッチだけは、プレイヤーがいくら念じても変えられない。木を削るしかない。 紆余曲折の末、やっと昨日の午後に交換が了承された。早速オーダーしたけど、今日の朝にしか届かないという。
まともな楽器が来るのは何より嬉しいんだけど、稽古中ずっと弾いて慣れた楽器を、本番当日になって別のものに入れ替えるというのは、演奏する側にとってはものすごいストレスです。メーカーが違えば、材質や鍵盤の幅も変わってきます。本番中は暗闇の中で演奏しているので、殆ど鍵盤が見えない。 ブラインドタッチで弾いているのです。1回のGPだけで、感覚を掴むことができるだろうか。
更に。一昨日の日記にも書きましたが、物凄いチミツにセットを組んでいるので、他の楽器やマイクの角度なんかが崩れないようにそっとそっと、内蔵摘出手術をするみたいな気分で入れ替えなきゃいけません。 何より、メーカーの違うXylophoneの横幅が違っていたら、セッティングの1からのやりなおしは必至。
気が重い。。。
ホールに着いてみると、来てます来てます、新しいXylophone。 1度入れ替えたら、もう元に戻す時間は無い。泣いても笑っても、この楽器で本番に間に合わせないと。 異常がないか軽くチェックして、ちょっと深呼吸してから、ヤグラに上げるGOを出しました。
前述のとおり、アメリカ人スタッフが4人がかりでロープを使ってXylophoneを降ろし、新しい楽器をロープに縛って、目を覆いたくなるくらいゴンゴン壁にぶつけながらあっという間に入れ替え終了。
さ、、、さんきゅー。(汗)(再び)
さて、緊張の一瞬がやってきました。セットの中にうまく収まってくれるか・・・
すっぽり。
ばっちり。
ホーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ。 とニューヨーク1の安堵のため息をついたのでした。 問題のピッチは、これまたバッチリ。思い切って交換して良かった。
こんな具合に、音響、照明、大道具、小道具、衣装、、、全ての部署で次々と発生するトラブルとの格闘を、それぞれがギリギリまで繰り返して、そして幕は開きました。
初日の本番は、、、
大成功。スタンディングオベイションの喝采でした。 嬉しいよりも、、、何だろう、
ホーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ。
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