森岡万貴 徒然記 (黒いブログ)
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| 2002年07月13日(土) |
徒然なるN.Y.紀行(9) 人は1人じゃ生きられない |
昨日の失態を一生の教訓に。
依然として眠れないながらもベッドの上で粘って、身体だけは休めるようにしました。
今日は、午前・午後とリンカーンセンターフェスティバルから招待していただいたミュージカルを2本観る予定だったのですが、キャンセルして夕方までホテルで静かにしていました。
今日、千秋楽です。泣いても笑っても。
不安でした。昨日と同じあの場所で、ちゃんと演奏できるだろうか。 また手が震えて、コントロールを失ったらどうしよう。
昨日のトラウマが、ボウボウだった私の心臓の毛を、きれいさっぱり毛根ごと抜き去っていました。
心細さでどうかなりどうだった森岡万貴。 私が眠れないことを知って、以前から心配してくださっていた役者さんが、ホテルに残って色々と親切にしてくださいました。有り難かった。
このとき、痛烈に感じたこと。
ーーーー人は1人では生きられないーーーー
なんかクサイですが、、、今まで自分の力だけで殆どの事をやってきた、これからも自分の力だけで殆どの事が出来るんだ、なんて思うのは高慢だ、と心の底から思ったんです。
会場に向かう途中のデリで、大きな向日葵を一輪買いました。
少し早めに会場入りし、やぐらに登って丁寧にウォーミングアップをしました。 今日も満員のお客様。幕が開いた時、ほんとにガラにもなく激しく緊張していました。 最初のナンバー。手よ、言うことを聞いてくれ。。。
祈るような気持ちで音を出して、、、いつもの感触が甦ってきました。 心で描いたとおりに音が出る。当たり前に仕事をして当たり前に使っていたけど、今日は自分の手がとてもいとおしく思えました。
カーテンコール。出たのは一昨日のような自信と感動の涙じゃなくて、初日についた安堵のため息でした。 、、、振り出しに戻っちゃった。 でも、爽快で落ち着いた気分でした。昨日の失敗は一生戻ってこないけど、おかげで自分の高慢さを見直して、人の優しさに気付く機会を得ました。
千秋楽のスタンディングオベイションは、一際盛大でした。 半ば放心状態でヤグラから降りると、最初はあんなにヤル気のなさそうだったアメリカ人スタッフが、力一杯の握手をしてくれました。
Good job!
一昨日、昨日、今日の千秋楽。この3回の本番を通して学んだこと、 森岡万貴は一生忘れません。
ニューヨーク最後の夜が更けていきました。
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