酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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はじめて高橋克彦さんの作品を読んだのは、美月からのオススメがあったからと ‘記憶’ しています。はじめて読ませていただいたのも、おそらくは 《記憶シリーズ》 のどれかだったろうと思います。当然の帰結、高橋克彦さんにどっぷりとはまりこんだ次第です。 《ドールズシリーズ》 や、 《浮世絵シリーズ》 など、どれを酩酊本としてご紹介させていいのかわかりません。そこで単純に私が一番好きで一番怖いと感じた 『眠らない少女』 ほか、さまざまなシリーズも短篇として楽しむことのできる高橋克彦さん自薦短編集をご紹介することにいたします。気に入られたら是非長編へ進んでくださいね。
「眠らない少女」 この話は、ものすごく短いモノもあったと記憶しています。東北での民話を題材にした世にもおそろしい物語。現代に甦るところがゾーッとします。それでいて最後の父親の愛には思わず、ほろりとする。高橋先生ご自身も、 「ひょっとして私の小説の中では一番怖い作品ではないだろうか?」 とコメントされておいでです。この作品が私の高橋克彦さん好きのルーツです。 あぁ〜東北行ってみたいなぁ〜。
「卒業写真」 《記憶シリーズ》 の出発点となった作品だそうです。タイトルからして、なにか起こりそうですよね。記憶シリーズでの私のお気に入りはまた別の作品なのですが、この作品もセピア色でよい感じです。
「歌麿の首」 高橋克彦さんが、分身のようとおっしゃる搭馬双太郎が初登場した作品です。 この作品では、竹久夢二の取材のため、岡山が出てくることが個人的には嬉しかったりするのです。怖い話が駄目な人でも、このシリーズはおもしろく読めるはずです。 「ゆきどまり」 照れ屋さんでいらっしゃる高橋克彦さんの珍しい愛欲(笑)シーンが読めます。ポイント!
「ねじれた記憶」 実は、この作品が私の 《記憶シリーズ》 での一番好きなお話なのです。 うろ覚えなのですが、世にも奇妙な物語あたりで映像化されたことがあるのではないかしら。
「紙の蜻蛉」 私の愛してやまない 《ドールズシリーズ》 の短篇。さまざまな本を読み、たくさんのキャラクターのことを好きな私ですが、このドールズシリーズの ‘泉目吉’ は最高に好きですね。男気があって、洒落っ気がある。とっても粋な男なんです。高橋克彦さんもご自分の作品の中でも大好きキャラにあげられています。目吉っつぁんが、ある事情で悲しい状況に置かれているのですが、彼の慟哭は涙を誘います。その彼を認め、守り、愛してくれる仲間たちの友情も泣かせます。ただのホラーじゃありません。怖い話が苦手と言って、このドールズシリーズを読み逃したら、あなた人生損します。断言(笑)
この自薦短編集は、高橋克彦さんがデビューから10年目に実現したそうです。もしもまだ高橋克彦さんを読んだことのない方がおいででしたら(あまりいそうには思えないのですが)、まずはこの短編集から入ってみられてはいかがでしょうか? 上にあげたもの以外にも短篇がのっています。その中の作品で気に入ったものがあれば、どうぞシリーズを長編を読んでみてください。
『眠らない少女』高橋克彦自薦短編集 1992.12.25. 角川書店
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