酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2002年09月24日(火) 破線のマリス

 第43回江戸川乱歩賞受賞作品。野沢尚さんは、どこぞでこてんぱんに叩かれてネット決別をしたとか噂を聞きましたが、本当でしょうか? さきほどその噂を捜して『ネットバイオレンス』という作品を書かれていることを発見。読んでみようと思います。えっと、私は野沢作品好きなんですね。あとネットはちょっと怖いなぁと思うときがあります。読んでくれる人を怖いと思わせるような文章を書かないようにいたいなぁと心がけていこうとあらためて思います。
 
 さて、前置きが長くなりましたが、この『破線のマリス』もそのような自戒を警鐘する作品だと思います。映画化されたものも観ましたが、黒木瞳と陣内孝則がうまく演じていましたねv
 ナイン・トゥ・テンという報道番組の特集コーナー‘事件検証’の編集をする遠藤瑶子。彼女の編集は切り口がよく、視聴者の心をとらえ、そのことが彼女の驕りを煽り、彼女自身をも破滅へ追いやってしまいます。
 マリスという言葉が、《悪意》という意味だとこの作品で知りました。放たれた言葉や映像は凶器になりかねない。それを感じさせてくれます。瑶子の映像によって破滅する男、麻生の言葉が耳にこだまします。
 「誰だ、誰が自分の都合のいいようにまわりの風景を切り取って、
  別の私をでっちあげたんだ!」
 
 『破線のマリス』 1997.9.11. 野沢尚 講談社



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