酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2002年10月27日(日) |
ハッピー・バースディ |
しばらく動きのなかった、‘酔わされて2002’に変動が生まれました。新井素子健在なり! いやぁーおもしろかったなぁ。 私は、姉の影響で星新一と横溝正史で活字中毒の扉を開けました。そんな私が自分で初めて開眼した作家さんが新井素子さんの『グリーン・レクイエム』でした。振り返ってみると私の原点にはSFがあるようです。『ひとめあなたに』と『あなたにここにいて欲しい』は、今でも心に大切にしまわれている作品です。 さて、そんな多大な影響を受けた新井素子さんの久々のSF(・・・かな?)。うーん、ジャンル分けなんて不要って気がします。とにかく面白かったv それに尽きてしまう作品です。だもんで‘酔わされて2002’にランクイーン! 物語は、あきらという社会不適合者寸前の作家と浪人生祐司の視点で交互にすすめられていきます。はじめての小説が賞を取り、この世の春を謳歌するあきらと、浪人して腐っている祐司が交錯した時、物語は動きます。どう動くかは読んでください。 あきらという女性の破綻していく様は、私なぜだかシンクロしてしまうんですよね。つくづくそういう描写のうまさに唸らされます。あきらと祐司がどうして交錯して、どうかかわって、どう結末がつくのか。これはここでは書きません。 是非、自分で読んでみてください。新井素子さんのSFをお好きな方でしたら、絶対的にはずれはありえません。断言。
『ハッピー・バースディ』 2002.9.30. 新井素子 角川書店
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