酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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奥湯元あじさいホテル、通称《プリズンホテル》にも、そこに集う人々にも春がやってくる・・・。春という季節は卒業していく、桜が散っていく日本ならではの季節なのですねぇ。 今回、偏屈作家孝ちゃんは、文壇の重鎮に認められ権威あるなんたら賞に二作品ノミネートされます。ひとつは任侠ものの『仁義の黄昏』ともうひとつは極あまの恋愛小説『哀愁のカルボナーラ』・・・な、なんてタイトルなんでせうね、孝ちゃんってば。 そんな中、今はプリズンホテルで女将になっている母親に捨てられた後、不器用な愛情で孝ちゃんを育て愛し続けてくれた富江が失踪します。 孝ちゃんは、寂しくて愛が欲しいばかりでおとなになりきれなかった男。前作冬では、愛する女を声にして態度にして愛していると言うことができました。今回、孝ちゃんは、孝ちゃんは、富江さんのことを心配して探し回って、最後に・・・。 こんな簡単なあらすじを書いているだけで涙があふれてきます。いい話やなぁ。孝ちゃん、ほんといい人たちに囲まれてしあわせだね。よかったね。 いつもながら同時進行でサイドストーリーがいくつも一緒にすすんでいきます。人生というものは、神様がなにかをしてくれると待っていても駄目、自分で動かないとならないと改めて教えてくれます。 本当にこのプリズンホテルシリーズにはノックアウトされました。
『プリズンホテル春』1997.1.31. 浅田次郎 徳間書店
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