酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年04月09日(日) 『いつもの朝に』 今邑彩

 学校でミラクルボーイと称される眉目秀麗かつ頭脳明晰でスポーツマンな兄・桐人、なのに弟の優太はチビでにきび面のやんちゃボーイ。生物学者だった父親は子供を助けて死亡。画家である母・沙羅の描く絵に必ず登場する《顔のない少年》・・・ふたりの兄弟に沸き起こった出生の秘密と母の家族が惨殺された陰惨な殺人事件。桐人と優太の運命は・・・

 今邑彩さんの物語はホラーであるイメージが強かったため、今回の物語には意表をつかれました。物語のトーンに不気味なホラーな色が流れてはいるのですケレドモ、なんだかちょっと違うのですよね。キリスト教色が強かったですし。犯罪者の血が流れる者の人生について考えさせられました。罪を憎んで人を憎まず、言葉にするには簡単なことですが実際に被害者となった時そういう態度でいることが出来るかどうか。テンポもいいし、謎が謎を呼びぐいぐい読まされました。大きなものを乗り越えて尚且つ揺るがない絆の尊さに感動しました。今邑さんのこういう作品もいいものだなぁ。

「神様は常にここにいるのよ。自己の存在を決して誇示することなく、わたしたちがその存在に気付くまで、根気よくひっそりと秘めやかに」

『いつもの朝に』 2006.3.30. 今邑彩 集英社



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