酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年07月17日(月) 『押入れのちよ』 荻原浩

 荻原浩さんのホラー短篇集です。ちょっと切なかったり、あまりにも悪意が心に痛かったり、怖いはずなのにほのぼのしたり。するするっと読めるので寝苦しい夜に一編ずつ読んで寝るがいいかもしれません。私が一番気に入ったのは「コール」で、恐ろしいと感じたのは「介護の鬼」でした。「コール」はかつてドリカム編成だった男ふたりと女ひとりの男一人が死んじゃって墓場で再会。そこに亡くなった男の意識を感じて・・・と言う流れ。なんだかありそうでね、ほのぼのしみじみ泣いてしまいました。こういうのあっていいよね。亡くなった人だって遺した人のこと気にしてるよね、きっときっと・・・。対して「介護の鬼」はもうドロドロであります。寝たきりとなった舅を介護のふりして苛め抜く鬼嫁。鬼嫁は鬼嫁になる前に舅と姑に苛められ、怨みがあったので介護という名を借りて嬉々として復讐していると・・・・・・ラストがそらまぁ怖いデス(涙)。人間同士って言うのは仲良くウマク愛しあい尊重しあう方が難しい生き物なのですね。なにやら暗澹たる思いが残りました。あとネコが妖しに変化したらしき物語「老猫」も面白かったです。マイブームが近所の猫ウォッチングなので猫をテーマにしてる物語にはトテモ興味があって面白く読めましたv 読後感は悪臭が漂っていやんxなものであったとしても(苦笑)。なかなか優れもののホラー短篇集にございました。

 この木が桜であることを、なぜ知ったかを二人とも口にはしない。納骨の日は四月初め、桜が満開の頃だったのだ。桜は無慈悲なぐらい美しかった。人の都合に関係なく、時期が来れば咲き、時期が終れば散る。人間の生き死にと同じだ。

『押入れのちよ』 2006.5.20. 荻原浩 新潮社



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