酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年07月18日(火) 『少女七竈と七人の可愛そうな大人』 桜庭一樹

 25歳の川村優奈は《辻斬りのように男遊びをしたいな》と思った。ある朝とつぜんに。そして衝動の赴くままにふしだらになった。旭川という北のひんやりとした小さな街で。ほんの一月の間に七人の男と寝た川村優奈は娘を産み落とす。恐ろしいまでの美貌を持った娘・七竈を。地方都市であまりの美しさを持った七竈は呪われた存在となり、孤高を貫き生きている。そして七竈は・・・

 桜庭一樹さんは注目している作家さんなのですが、この物語で桜庭さんの根底に流れるものを読めた気がします。個人的な感想で言えば、乙一くんの流れを汲む人なのではないかしら、と思いました。ものすごく不思議なトーンなのです。不気味で異形でじっとりしていて切なくて。もしかしたら恩田陸の系譜とも言えるかもしれないなぁ。キチンと人間を描いてらっしゃるし。美しすぎる人間は小さな町では呪われた悪目立ちする異形の存在となってしまう、それって仕方の無いことなのでしょう。だから七竈の選んだ道は、おそらく正解。その選んだ道での七竈のことも知りたいですね。雑踏の中に紛れてしまうのか、綺羅星の中ですら輝きを放ってしまうのか。そういうのってホント運命の人って感じがします。望むと望まざるとに関わらず生まれ持った宿命、宿業・・・さらりと描かれていて奥がトッテモ深かったです。脱帽。

 ああ、大人になってしまうと、女は男をばかだと思うようになるのだろうか。いまの、少年を神のようにおそれる気持ちは、失われてゆくのだろうか。たがいを、あなどる。男と、女。ああ、それはちょっとばかりさみしいことであるなとわたしは考えた。

『少女七竈と七人の可愛そうな大人』 2006.6.30. 桜庭一樹 角川書店



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