酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2006年08月03日(木) |
『赤々煉恋』 朱川湊人 |
「死体写真師」は、ネクロフィリアを軸としたホラー。「レイニー・エレーン」は、昼はキャリア・夜は娼婦な女性が幽霊となって現れる物語。「アタシの、いちばん、ほしいもの」は、自殺した霊の彷徨う物語。「私はフランセス」は、アクロトモフィリアと言う性癖の物語。「いつか、静かの海に」は、地球外生命体を育てる物語。赤々とした炎のように何かに身を焦がし、切望する者たちの行く末を描いた5つの不気味な物語たちでした。 これはねー、「朱川さんやりましたねー(にやり)」って感じの短編集でありました。心にほのぼのと郷愁を感じさせる物語とは全く異質な欲望ホラー短篇集ですから。これはこれで私的にはかなり好みであります。人間の奥深い欲望をしっかりじっとりネットリ表現されていましたからね。ゾクゾクしちゃいました。『花まんま』などの路線を望む方にはもしかすると生理的に厳しいかもしれません。 どれもこれも気に入りましたが、「私はフランセス」には度肝を抜かれました。ホラーもエログロも読んできているつもりでしたケレドモ、アクロトモフィリアと言う性的嗜好は知りませんでした。その手前の緊縛なら想像つくのですが。人間の奥深いところにある欲望は本当に人それぞれだと思いますが、痛い系はどうにもおぞましいです・・・。読むだけなら「うへぇーっ」と言いつつ読んでしまいますケレドモ、自分の肉体がそうなるのって考えられないなぁ。文章的に面白くて気に入ったのは「アタシの、いちばん、ほしいもの」です。自殺した少女の想いが何故だかよくわかってしまう。語り口から心情がトッテモよくわかるのですよねv
小ちゃいコがいると大変なんだろうな・・・・・・と同情はするけど、やっぱり、こういうのはいただけないですなぁ。いくつになっても女は女、どれだけ忙しかろうが大変だろうが、女は女を忘れちゃイカン。
『赤々煉恋』 2006.7.20. 朱川湊人 東京創元社
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