酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年08月18日(金) 『キサトア』 小路幸也

 やっかいな風嵐の<夏向嵐>(かこらし)を風のエキスパートであるフウガさんが風を読んで対策を立てて止めてくれた。だから、その町の人たちは尊敬を持ってフウガさんを町に迎え入れ、息子のアーチと双子の娘のキサとトアはみんなに愛されている。キサとトアは、太陽の運行と一緒に寝たり起きたりする。キサは朝日が昇り始めると同時に目を覚まして、トアは同時に眠り始める。トアは、夕陽が沈み始めると同時に目を覚まして、キサは同時に眠り始める。ほんのわずかな時間しか共有できない双子の姉妹をフウガさんもアーチも町のみんなも心から愛し、見守っている。ある日、風のエキスパートのミズヤさんが調査のためにやってきた。アーチたち子供が気づかないところで、深刻な事態が町を襲っていたのだった・・・。

 いやぁ、思い入れが強いほどに紹介文に苦労しますね。この物語にはたくさんの人たちが登場して、出てくる人たちがみんな魅力的。なのでシンプルに書こうとしたら、あの子もこの子もあの人もこの人も書けなくって(涙)。でも、それは読んでもらった方がいいだろうなぁ。きっと好きな人が読む人によって違うでしょうし。私はユーミさんと言う気風のいい美人さんがダイスキv アーチとアーチを取り巻く子供達が主人公で、少年少女たちが頑張るものには目が無い私にはたまらなかったです。みんないい子で素直で一生懸命で。大人たちも立場はあれど素敵な人ばかりで。小路幸也さんの優しい目線が溢れています。本当にこの物語のような世界であれば、子供達がこんなふうに生き生きと生きていければ、それこそが〈What a wonderful world〉この素晴らしき世界ですね。一度読んで、翌日に読み返して、物語を丁寧にしみじみ噛みしめました。こんな心に優しい物語を読ませてもらえると、人生って素敵と笑顔になります。たぶん何度も何度も繰り返し読むことになる人生の宝物の一冊です。小路幸也さんはサイコーだわー! ちゃくちゃく♪

「あの件ね。しょうがねぇなぁくそ親父ども。大人の事情に子供を巻きこみやがって」

『キサトア』 小路幸也 理論社



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