酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年09月01日(金) 『ヴェアヴォルフ オルデンベルク探偵事務所録』 九条菜月

 1900年、ドイツ帝国。急速に発展する人間社会に置いて人ならざるものたちは居場所を失いつつあった。ジョン・スミスは、人ならざるものたちの保護と生活の手助けのためにオルデンベルク探偵事務所を創立した。ジークベルト・スミスはジョンに命を救われ、探偵事務所で働いていた。長い調査を終えて事務所に戻ったジークは警備員のモーリッツに怪しまれるわ、現在の事務所所長アルの新しい秘書マーリエの厳しさに慄くわ、しまいには人狼の子どもエルの世話を押し付けられてしまう。エルを守りながら、アルの指令をこなすジークは事件の背後の組織がエルを狙っている事を知る。ジークはエルを守ることができるのか・・・!?

 第2回C★NOVELS大賞特別賞受賞作です。この物語はものすごく魅力的な人ならざるものたちが続々と登場してきて、裏切りやどんでん返しが嬉しい御機嫌な展開でわくわくさせていただきました。なんだか外国のドラマを見ているようでしたよ。おそらくシリーズとして続くと思うのですケレドモ(おおいなる願望)、今回ちらりとしか登場できていないキャラクターにスポットを当ててくれるのじゃないかしらん。それを楽しみに待ちたいですv 個人的にはかなり好みでトッテモおすすめ。

 失ったものは大きい。
 けれど、この腕の中の温もりのように、失わずに済んだものもある。
 だから、感謝したい。
 神でも、誰にでもなく。
 ただ、生きている、この瞬間こそを。


『ヴェアヴォルフ オルデンベルク探偵事務所録』 2006.7.25. 九条菜月 中央公論新社



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