酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
DiaryINDEXpastwill


2006年09月12日(火) 新装版『氷の森』 大沢在昌

 緒方は行方不明の少女を探す調査において、次々と関係者が死んでいくと言う妙な事件に巻き込まれる。その事件の真相を探りつつ、ある男から事故死した恋人の過去を調べて欲しいと言う依頼を受ける。ふたつの事件を調べていくうちにトンデモナイ怪物を炙り出してしまう。しかも無関係だったはずの事件がクロスしたのだった・・・!?

 10年間も売れない時代が続いた大沢親分が『新宿鮫』でブレイクする直前の物語です。親分ご自身は売れなかった10年間の集大成とおっしゃっていて、確かに大沢親分の原点を読む気がしました。しかしながら、『新宿鮫』シリーズや『佐久間公』シリーズのようなスタイリッシュさはありませんねぇ。どろ臭くて爆発寸前のマグマがぐつぐつ煮詰まっているような暑苦しさ(笑)。でもそこが大沢親分の持ち味の根っ子なのかもしれないなぁと思いました。残念なことは物語でモンスターがナマで登場しないこと。これはもったいなかったですね。どこかで登場させてその異常性を見せて欲しかった。その方が臨場感高まった気がするのですケレドモどうでしょう。とは言っても、どんなに暑苦しく泥臭くても面白い事に変わりはアリマセン。あ、ただ、主人公が女にフラフラしすぎ! あれは駄目。よろめいても一人にしときまひょ。

『氷の森』 2006.8.11. 大沢在昌 講談社文庫



酔子へろり |酔陽亭酔客BAR
enpitu