酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年11月13日(月) 『つばき、時跳び』 梶尾真治

 親の反対を押し切って作家になったわたしは、熊本市郊外にある家に管理かたがた住むこととなった。さまざまな椿が咲き誇る通称“百椿庵”には女の幽霊が出ることで有名だった。わたしの母も女の幽霊を見たことがあると言う。ある日、わたしは美しく清楚な女が忽然と現れたのを目撃し、魅せられてしまう。その女は「つばき」と名乗り、150年の時のかなたから現れたのだ。わたしとつばきの時を越えた恋がはじまって・・・

 ああ、もうたまらないです! カジシンさん最高です。タイトルから内容バレでカジシンさんだからタイムスリップものだとわかりながら読んでいても魅了されます。間違いナシですっ(自信満々鼻息荒らし)。不器用で清々しい恋に酔わされてしまいました。このふたりの恋の行方を見守りたい想いでラストまで駆け抜けてしまいました。言いたいケレドモ言っちゃいけない衝撃のラスト・シーン! いやはや本当にすごかったです。ものすごくオススメなのです。

 それを考えると、何がきっかけになり、何が結果だということの境界が、だんだんとあやふやに思えてくる。いや、こう思えばいいのか。
 すべてが時の輪の中で定められていたことなのだと。


『つばき、時跳び』 2006.10.18. 梶尾真治 平凡社



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