酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年11月21日(火) 『紗央里ちゃんの家』 矢部嵩

 今年の夏もまた紗央里ちゃんの家に遊びにやってきた。紗央里ちゃんは僕より3つ年上の従姉妹、中学2年生。いつもは家族全員でやってくるのだケレドモ、中学3年の姉が受験勉強で母と家に残ったのだ。父とふたりでやってきた紗央里ちゃんの家には風邪をこじらせて死んでいた(と後から聞かされた)おばあちゃんはいないのは当然として紗央里ちゃんの姿も見えない。しかも家に微妙な異臭が漂う。叔母さんは血まみれで料理をしていたと言うわりに、出てくる食事はカップめんばかり。・・・なにか変だ。なにかすごく変な気がする・・・!?

 ホラーにも色んな種類があると思うのですが、生理的不快感=キモチワルイ系と言う種類は好物ではありません。でもまぁ『黒い家』では気持ち悪さもゾクゾクさせられたものだったっけ。うーん。やはりただ単に読んだ時の好みの問題なのかしら。このホラーは異様に不快な匂いが漂っていて(たぶんそれに辟易したんだと思う)何故だかドライで、そのくせおどろおどろしく迫り来る恐怖はキチンとあって・・・なんとも複雑にどんよりとさせられたのでありました。あ、そうか主人公の僕がキャーキャー怖がらないことがすごく違和感だったんだ(今、気づいた)。ホラーも色々あるものだなぁ。第13回日本ホラー小説大賞受賞作品です。

『紗央里ちゃんの家』 2006.10.30. 矢部嵩 角川書店



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