酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年11月27日(月) |
『真夏の島に咲く花は』 垣根涼介 |
南の島の楽園、フィジー。ナンディ・タウンで生きる4人の若者、フィジアンのチョネ・フィジー育ちの日系のヨシ・インド系のサティー・日本人の茜、今はチョネと茜、ヨシとサティーが恋人同士。しかし、茜は知らなかったがチョネとサティーは過去に付き合っていたのだった。4人の関係にヒビが入った時、チョネは大きな暴動の目玉となってしまう・・・。4人にとって楽園はどこにあるのだろうか。
『ワイルドソウル』以来の私的垣根さんもの大ヒット作品となりました。南の楽園と言われるフィジーで織り成す4人の男女の愛と友情の物語。なんだかゆるゆる流れる時間の中で彼らの思いに同化しながら、寒い冬なのに読んでいる時は南の島バカンス気分でありました。楽園なんてこの世にない。何故ならば楽園だと思って辿りついたら、もうその地で現実が始まってしまうから。でもきっと誰の心の中にも楽園はきっとある・・・それでいいのじゃないかしら。主軸の4人がすごく素敵で、中でもヨシの揺らぎには激しく同調できてしまいました。純粋ジャパニーズな茜よりもフィジーで生まれ育ったヨシが好き。恋人にするならばチョネがいいのですケレドモね(笑)。どんなに好きあっていても結ばれないこともある、フィジーのロミオとジュリエットだわ。ふふふ。私としてはオススメですが、好き嫌いは分かれてしまうそうではあります。
そう。たしかにうまく言えない。うまく言えないが、気づかなければ、それでいいのだ。それまでと同じ日常を、何の疑問も感じずに送ることが出来る。でも、日常の中にさりげなく転がっている大事な何かに気づいてしまえば、もう、それまでと同じ生活は送れない。目をつぶって自分を誤魔化しつづけるか、生活を根本から変えていくしかない − 。
『真夏の島に咲く花は』 2006.10.10. 垣根涼介 講談社
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