酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年12月11日(月) 『虹色天気雨』 大島真寿美

 仕事明けでへろへろの市子は朝っぱらから奈津の電話攻撃を受け、朦朧としつつ安請け合いをしたらしい。奈津はいきなり200万持って失踪した夫を探し出しに行くから娘の美月を預かってくれと言う。小学生ながらしっかりしてきた美月と二人で奈津を待つ市子。奈津は夫・憲吾を探し出す事ができるのだろうか。

 これは素敵な物語です。読んでいると微笑んでしまうような心に優しいエピソードの数々。奈津の娘の美月を仲間達みんなで慈しむ姿には共感できます。いろんな瞬間に友人になっていった仲間達のそれぞれの人生と心の交流。人と人の繋がりってこういうカタチが望ましい。この輪の中に入っていきたいような、そんなナイスな気持ちになること間違いなしです。オススメですv

 明るくもあり、暗くもある新年。
 年が替わったからといって、何がめでたいわけでもないってことは誰しもが思い、だけど、それでも、おめでとうと言葉を交わし合うのは、励まし合うのにちょっと似ているのかもしれない。くじけないで歩き続けているあなたへ。くじけないで歩き続けている私へ。
 たった一人で歩いているこの道を、たった一人で歩いているべつの人が、すれ違いざま声をかけ合うみたいに。


『虹色天気雨』 2006.11.110. 大島真寿美 小学館



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