酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年12月14日(木) |
『ありふれた魔法』 盛田隆二 |
秋野智之は44歳。城南銀行五反田支店次長。2歳年上の女房は元同僚、3人の子供あり。過酷な銀行業務をこなし、家庭を家族を大事に生きる男。なのに恋をしてしまった。部下の森村茜に。若く美しく有能な茜との逢瀬は潤いを与え、気がつけば茜のことばかり考えていた。でもその恋が・・・
恋なんてもうしない。そんなことを思っていたはずなのに狂おしく焦がれるほどの恋に落ちてしまった・・・。そんな秋野さんはなかなかナイスガイでありまして物語的には美しく綺麗に終りました。だけど、だけど、残された方の気持ちはどうなるの。それもまたエンディングではそれなりの道をつけてあげていたケレドモ、なんと言うかそんなにまで保身に走るのであれば手を出すなよと私は言いたい(憤慨)。それはまぁ大変なことになって一番大切なものを再確認できたのだと言われればそれまででありますが。面白かったし、一気に読ませる魅力満載でした。なのに胸に黒いズブズブしたしこりが残ってしまいました。人間の気持ちって憎らしいいものですね。杓子定規にここからここまでいいとか悪いなんて線引きできないのだから。うーん、複雑。そしてオススメ。
『ありふれた魔法』 2006.9.25. 盛田隆二 光文社
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