ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ

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2002年04月17日(水) マネキンが手を差し伸べて。
「さあ、デパートメントストアーにゆこう」
と、君が笑った。
獣か何かのように舌をだらりと垂らして、にたにたと。
デパートメントストアーに行って、きらきらと光る指輪が欲しい、と、君が歌う。でたらめな節回しで、舌は垂らしたままに。

僕たちはデパートに行った。デパートの中には頭の悪そうな目をひん剥いた人々が集まっていて、僕は少し吐きそうになった。
指輪を買ってよ、と、君が甘えた。僕の最近太りぎみの二の腕に華奢な白い指を絡ませる。指輪?と、僕が尋ねる。それはなんだ。永遠の愛、とか、結婚記念日、とかそんなバカバカしいアニバーサリーを祝うのか。
指輪を買ってよ。
君はそれしかいわなくなった。「ゆびわをかってよ」ということばをロボットみたいに繰り返す。僕は君が悪くて、ティファニーの指輪を買ってあげた。
「うわあうれしい」と、君はわざとらしく言って、右手の薬指にそれをはめた。

帰りに喫茶店で一口飲むたんびにどきどきぐるぐるするピンク色のとろとろしたジュースを飲んだ。
君はそのジュースに指輪をいれて、えいと飲み干した。
「クレオパトラみたいだね」と、僕があきれると、君は笑いながらグラスを叩き割り、僕に詩をささげてくれた。
それは、ようするに、あたしはあなたがすきです、というようなクダラナイ詩だた。


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