| ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ |
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| 2002年04月27日(土) | 企画小説第六弾 |
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テーマ「そんなのあたしに関係ないじゃん」が口癖な人の話 すごく嫌な夢を見た。 わたしは、サリと、崖っぷちに立っている。と、地面が大きく揺れ、わたしは崖から崩れ落ちるのだが、なんとか地面の端っこを掴み、留まっている。だが、だんだん手の力が抜けてゆき、わたしはサリに助けを求める。助けてよ、と、わたしが云うと、彼女は嬉しそうに、だが傲慢な香りさえする微笑を返して、彼女の口癖を云った。 「そんなの、あたしに関係ないじゃん」 そうして、彼女は去って行った。そこで、目が覚めた。 いけない、なんというか、いけない。この夢をみてから、わたしは、サリをなんとなく畏れていて、そして、彼女のあの口癖、「そんなの、あたしに関係ないじゃん」というのが、今までは別にどうとも無かったのだが、突然、恐ろしいもののような気がしてきて、わたしの心はぎりぎりと締め付けられた。 学校に、日が翳る。下校時間、というさよならの時間が迫ってきている。クラブ活動であるところのバレーボールを楽しんでいたわたしとサリも、うちに帰ろうとしていた。同じ方面の電車に乗る、ということからわたしとサリの関係は始まった。サリはいい奴だ。だが、とても投げやりで、全ての事を、例の口癖で、ほっぽって仕舞おうとする。けれど、反対にわたしは、一つの物事に物凄く固執するタイプで、サリに時折イラついたりするし、サリもそうだろう。けれどわたしたちはなんとなくうまくいっている。愛称、という奴なのか。 緑色の電車の吊革を玩びながらサリは突然笑い出した。なんなのか、と、わたしが訊くと、また笑って、「いやぁ、なんとなく、すごく可笑しくなって」などと、云うのだ。どうしていいのか判らない。 「なんかさ、ほら、急に可笑しくなっちゃったりすること、あたし、あるんだよね。そうなると本当色んな事どうでも良くなっちゃうんだけど」 あのサリの口癖は、どうやらその辺から来ていたらしい。 と、電車が、ごとり、という大きな音を立てて横転した。車掌のアナウンスが入る。 「えー、只今、事故が、発生、というか、横転、しました」 相当焦っているようだ。 「救出を呼んであります。そのうち来るので、みなさん、心配しないで下さい。あ、出られる方は、もう逃げてしまってください」 逃げよう、とわたしたちは云い合い、窓を開けて逃げようとした。 そのとき。 また電車が大きく揺れた。そして網棚がぐにゃりと曲がり、わたしは網棚と床に挟まって逃げられなくなってしまった。 「サリ!助けて!」 窓から体を半分出したサリにわたしは助けを求めた。 おかしなタイミングとしか云い様が無いのだが、わたしが、て、という音を発したあたりでサリは急に笑い出した。爆笑した。 「なによ、助けてよ」 もう窓の向こうに降り立ち、スカートを平手で払いながらサリは云った。 「そんなの、あたしに関係ないじゃん」 すごい、正夢だ。笑いが止まらなくなり、先ほどのサリのように笑いを爆発させているわたしのもとに、救出隊の人がやってきて、わたしを助け出してくれた。 その向こうでまた、サリが笑っていた。 「へぇ、助かったんだ」 そう云って。 |
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