佐々木咲 |
手術の日 |
起床。 絶食なので朝食がなくて、周りの人が食べている気配を感じていた。 食事が運ばれると「パン焼きますか?」「お願いします」って会話が聞こえてきて、パン!焼いてもらうの!?という興味がめっちゃ湧いた。給湯器の横にトースターとレンジがあるので、あれか。ていうか焼いてもらえるんだすごい。 10時からは水もダメ。薬も飲んでない。 看護師さんが「シャワーは浣腸した後のタイミングで行けばいい」と言ったので、11時半に予約しておいた。手術までにシャワーしようという発想がなかったけど、した方がいいということだよね。 私の向かいの陣地の人が、ちょっとややこしそうな女性で。 同世代、子どもは日本語が通じない、本人は日本人、救急搬送で来た、手術の予定はなく点滴とかで対処する生活をしている、シーツの交換をしていたので既に5日間ぐらいは入院してる。ということが聞き耳によって発覚していた。 難しい人というよりは、ギャル気質で楽しく喋っていないと落ち着かない、一人で静かに過ごすことが苦手のように感じた。話しやすい看護師さんや掃除のスタッフさんを捕まえては、雑談と自分語りをしていた。 私の4日目ぐらいに、他の人の為に来ていた医者を捕まえて薬の相談からの自分語りを始めたので医者が「すみません後で来るんでいったんいいですか」って言って退室した。その医者はその後4時間は来なかったの確認してるけど、本当にまた来たんだろうか…。 ↑この人が、明るいと眠たくなるとか会話の中で言ってて。そのせいか知らんけど、朝一から部屋のメイン電気を勝手に消すの。なんで?暗い。消す権利もないのに。私もエアコン操作したけど。 でも入ってくるスタッフさんたちも誰も指摘しない。あの人たちの中でも「他のスタッフが理由があって消してるんでしょう」みたいな感じで各々処理していて、事を荒立てないようにしているのでは。 隣の人は、たぶん私と同じような内容で入院していて、私の3日後ぐらいの生活をしているようだった。この時点で、診察で問題なければ明日退院だという会話を聞いた。 すごくゆっくり歩いていたので、自分もこうなるのか…。でも元気そうにしてる…。指標のようで安心感があった。ありがとう。この人も同世代ぽかった。 一度、こっち側のカーテンから出ようとして開けたら思いっきり隣のカーテンも一緒に開けてしまってあっっっ超すみません(静寂に慣れたので言えなかった)ってなった。ベッドに座ってスマホを見ていらした。私に気づかなかったのか無視だったのかわからないけど超すみませんでした。 はす向かいの人は、この日に退院した。 回復したらディズニーに行くことを楽しみに頑張ってると看護師さんに言ってて、看護師さんがノリノリでファンタジースプリングスの回り方を伝授してた。 下剤が効いているのか、お腹を下した。もともと便通はいいので。この場合、腸を空にするのが目的だろうから下すぐらいでちょうどいいのか…?普通にお腹痛い…。 あと睡眠剤も効いているのか、やんわりと眠たい。活動は出来るけれど、何もしていないと眠たい気がする。 はす向かいが片付いたあと、ベッドで人が搬入されてきた。 たぶん手術が終わってすぐの人だ。ベッドごと部屋に帰ってくるって聞いたし。この人は手術の前はこの部屋にいなかったけど。 搬入された時点で余裕で医者と会話していた。全身麻酔ではなく脊椎麻酔だかららしい。へー。もしかして前日入院せずに来院してすぐに手術だったのかな。 そういえば私は入院の手続きをまだしていなくて、日曜日はやっていないので月曜日に担当者が行きますって聞いてたのに、まだしていない。 手術の同意書とかは提出してたけど、支払いの保証人とか書いてある用紙はまだ出していない。なんなら今月保険証もまだ出していない。いいのかこれで。 今日のタイムスケジュールが一切なくて、ボーっとしてたら11時過ぎぐらいに看護師さんが来た。 浣腸について説明されて、シャワー行く時間ってあるんですか?って聞いたら、もうないって言われた。あれっっっ。予約したのを消しに行った。 採血で気分が悪くなる人は浣腸でも気分悪くなることがあるんだって。因果関係がわからないけど、確かに立ったらふわっとした。 やる直前に「痔はないですか?」って聞かれた。あったらどうしたんだろう。この直前で中止や変更はなさそうだけど。聞くの遅くないか。アレルギーや取り外せるパーツの有無とかについては逐一聞いてきたり何度もサインしたのに、これは遅くないか。 浣腸したらトイレに直行で、看護師さんが外で見守ってるから扉のカギはするなと。ちょっと間我慢してから出して欲しいけれど、我慢できなければいいと。 既に下しているので一切我慢せずに出した。もはや液体。便意と関係なく出る。すごいな浣腸って。便秘でも絶対効くのでは。 看護師さんに「大丈夫ですか?」って2回聞かれて、大丈夫です。えっこれ何分ぐらいかけて出すものなの?止められるまでずっと?いつまで出る? 3回目「本当に大丈夫ですか?」って聞かれて、「大丈夫なんですがいつ終わったらいいかわからないです」って答えたら「落ち着いたらいったん出ましょうか」って。 部屋に戻って、またトイレ行っといてくださいねって言われた。 11時40分ぐらいに看護師さんが来て「手術の時間が早まるんですがご家族の方は今どこですか?」って言われた。 早まるの!!???13時開始予定が、12時10分開始予定に変わった。そんなことあるん??早まることはないって昨日はっきり言われましたけど。何があったら前の2つがそんなに予定より早く終わるんや。 母に連絡したら、電車で今向かってると。当然ながら早まることには驚き。 こうなるとこの人、方向音痴が合わさって大慌てになるんですよ。森ノ宮ピロティホールのトイレの時のようにトラウマ植え付けそう。 「駅着いたけどどっちに進む?」とか聞いてきた。病院に着いても、ちゃんとここまで入れるんだろうか…。 まぁちゃんと来れたので、これは後日聞いた話。病院内の、外来とか含めた総合受付で「今日手術する家族なんですけど」って伝えところ、カード提示を求められたから前日に守衛室で貰った家族カードを見せたら「それじゃないです!!」ってすごい怒られたと。確かにそれ時間外は使えないって説明あったしね。替わりに何か記入して通されたらしい。 この病院、ロビーの案内係的な人はほぼ全員ピリピリしているのでそういうところあるんだよ。大規模だしなんぼでも待たせるスタイルだし、案内係とかの末端の人も人数は多いんだからのんびりやってもいいのに。生真面目な人が多いのかな。 母と合流して手術室へ向かう。 秘密の入り口から秘密のエレベーターに載って到着。 手術室のあるエリアは本人と看護師さんしか入れない。ここがめっちゃ、古のアメリカ医療ドラマ「ER」の雰囲気だった。手術室の周りってこんな感じが標準なんだ。 頭に髪を収めるキャップを被るよう言われて、髪の毛くくってこればよかったーと思ったけど後でヘアゴムは禁止って説明があった。そうなんだ。ロングヘアは入らんのでは。 だんだん緊張してきたけど、流れるように手術室に通された。 人がめっちゃいる。寝転がる台がすごい小さい。手足を載せる場所がジャストフィットするくらい。 BGMで歯医者のようなオルゴール音楽の「Can you celebrate?」が流れていて、産科だからウエディングソングなのか…?と思ったけど、次が「長い間」」だったので平成懐メロ…? たくさんいるスタッフさんたちは、みんな若そうだった。たぶん一番上でいつもの先生40代、他はアラサーぐらいの人が多そうだった。誰の選曲? 以前MRIの最中に寝落ちしたような感覚が蘇り、これは横になったら普通に寝てしまうやつ…と思い始めた。睡眠剤がたぶんまだ効いていたし。 胸元とか、なるべく裸体をさらさないように服やタオルで覆ってくれた。えっもうここまで来たら気にしないですけど…必要な配慮なのかな。手の甲に点滴が挿される。思ったより痛くない。口元に酸素用のマスクを付けられたら、めっちゃ呼吸がしにくい。酸素送る前提の作り?若干苦しい。 いろんなスタッフさんが代わる代わる自己紹介してくるけど、なんも言えんし。目で追う。「眠くなる時に声かけますね」と2回ぐらい言われた。そうなんだ。でもやっぱり既にちょっと眠たい気がする。だんだん、MRIのような騒音が右側から聞こえてきた。幻聴とかじゃないと思ってる。まだ眠くなるよの声は掛からない。 で、次に気が付いたら違う天井だった。うお!!! パッと目覚めたので、たぶん何らかの方法で起こされたのだろう。 あっこれ別の部屋だわ。ベッドの上だわ。酸素マスクは付いていたけど、管は喉から抜いてあったので安心した。管が入ってるの恐怖症なので。 看護師さん?に声を掛けられて左を見たら、母がいた。父は酸素マスクで見えづらいけどいた。いるの知らなかった。 ここは状態を様子見する部屋なのだけど、「1時間経ったのでお部屋に移動しますね」って。1時間経ったかどうかは知らんけどどうぞ。ベッドごと運ばれて、「段差ありますよー」って言われる度に振動でヴッッってなりながら帰還。 部屋で、看護師さんと「スマホとか手元に欲しいですか?」「欲しいけどセキュリティボックスのカギを母に預けてるんです」「じゃあご家族が来られたら出してもらいましょう」って会話した。 その後、母になんか話しかけられたのでまず「声落として」って、静寂に慣れた私は言ったのだった。割と強めに意識あったな。 iPhoneとAppleWatchを出してもらって、Watchは着けたいけど左手にいろいろまとわりついていて着けられないなとか言ったら母が「右手に着けよ」って言って、あっなるほどと思った記憶がある。思考出来てるような出来ていないような感じ。でもその後、Watchのパスコードはちゃんと入力した。 翌朝まで頭は起こさないように指示された。 でも寝がえりはいいらしい。矛盾を感じる。というか寝がえりって、脇腹のどっちかが下になるって痛いやろ無理…。 両足に、ふくらはぎを揉み続ける機械を付けられていた。これが結構、音がする。カタンカタンブーーンみたいな。私と、はす向かいの人も付けていたのでこの夜まぁまぁうるさかったと思う。だからこそ同じ部屋にしてあるんだろうけど。 というか、着圧ストッキングは自分で履いていないのでどこかのタイミングで誰かが履かせたのでしょうけれど、履かせた人すごいな。難しそう。なんでこれは自分で履けじゃないんだろう。 あと、あの小さい手術台からベッドにどうやって人を移すんだ…?も謎。 部屋に帰った時点で17時ぐらいで、咲百合さんにだけ手術終わった連絡をした。 そこからまた寝て、次に目覚めたのが19時ぐらい。 この間に、いつもの先生が来てカーテン開けて立ったまま喋ってたのだけれど、このタイミングで話しかけられても眠たいから何言われたか後で覚えてないんだぜ…? 言われたことは「左は直腸(とどっか)にかなり癒着していた。右の癒着を取っていたら中から嚢胞が出てきたのでそれは取った」ってことだけ記憶がある。 直腸は自信あったんですよ〜〜〜!!直腸やっぱり〜〜〜!!!!ってもはやテンション上がって他を覚えていなかったという可能性もある。 右はノータッチぐらいの予定だったので、わざわざ説明があったものと思われる。 医者「膝を立てられる?」 私(スッと立てる)「痛っ」←立てた拍子に腹が痛かった 医者「無理のない範囲で」 立てた方がいいという説明はなかったけど、いいんだろうなと思ってなるべく立てていた。 19時に起きて、他の人にも手術終わった連絡をした。みんな気にかけてくれてありがたい。 職場ではリーダーにだけLINEして、たぶんまだ仕事中で普通に職場についての雑談をした。ちょっとまだ脳がはっきりしてないけど相手できた。 タイミングを忘れたけど、酸素のマスクを取ってもらった。酸素のマスクの上から不織布のマスクを付ける謎仕様だった。 すぐにリップクリームを塗ったわね。ポーチにミスト化粧水も入れていたので、それもちょくちょく吹きかけていた。このポーチがいつ枕元に来たのかは覚えていないな。 はす向かいの人は晩御飯を食べていたってメモしてある。同じく術後なのにえらい違い。 私は朝昼晩食べていなくて、手から入るポカリスエットで生きてるってメモしてある。 謎に、右手の親指にテープが貼ってあって。たぶん何かを固定していて、その何かだけ取り外してテープが残ったようなぐしゃっとした形だった。 看護師さんに伝えたら、何これ剝がし忘れかな…?って剥がされた。ところどころ適当なのよなこの病院。 痛み止めが投与されている安心感と、これが切れたらどうなるの…という心配。 全身麻酔したら次の日に熱が出たとか頭が痛くなるという話を聞いていたので、言われたとおりに頭は動かさないようにしていた。 消灯時間になったら、看護師さんが来て歯を磨かせてくれた。神対応…!!歯磨き大好きなので…!! その後ちょっと起きてスマホを触っていたけれど、急に気分が悪くなってきたので寝た。 定期的に看護師さんが見回りにくるせいもあってか、というか日中ほぼ眠っていたせいか、2時間置きぐらいに目覚めた。 呼吸をするとみぞおちの辺りが痛む。詰まってる。手術でガスを入れるって言ってたのがこれかな。 あの、尿は管によって自動で体外に出ていく仕組みだったのですが。 夜中に、おしっこを出したいような感覚があってそれが気になって看護師さんを呼んだ。確実に自力で排泄はできないので、なんとかして欲しい。 看護師さんに横を向くことを提案されたので、やってみた。当然ながら痛いし。感覚もあまり変わらない。 たぶん別の看護師さんが来て「確かに管からちゃんと出ていない」みたいなことを言ったのよ。よくわからんけどそれは納得する。その後、その人がしばらく管のあたりで何か作業していた。 その後、最初の看護師さんがまた来たのでやっぱり感覚は変わらないと申し出たら、反対側を向くことを提案されたので「ていうかベッドに角度を付けられませんか?」と逆に提案した。これ身体がフラットだから膀胱から尿が出ていかないのであって、角度を付ければ下から出ていくでしょう…?手術で触ったのもその辺だし…。 看護師さんに今の限界まで角度を上げてもらって、「でも横を向かないと変わらないと思う」とか言われたけどもういいからとりあえずこれでやらせて…。 結果として、これが正解だったと私は思うの…。管を改善してもらったせいかもしれないけど。 全身麻酔が効かなかったらどうしようと思ってたけど、普通に寝て起きた。 「眠たくなる時に言いますね」とのことだったけど、言われてないと思う…。酸素のマスクの時点で眠らせる何かが送られていたのでは…?トリックが気になる。 |
2025年06月16日(月) |
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