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2008年11月24日(月) ■ |
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パン職人がやってきた(2) |
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あしたこの村のお祭りだから おとなたちはみんな準備で眠らない 風車はまわしっぱなし
まるくふくらんだ人工衛星も あしたは朝から雲ひとつないと 夜空と農場をいったりきたり、忙しい
あした村からたくさんの こどもたちが旅にでる ぼくもでる ちいさな看板と真っ白な帽子を持って もういちにん前なのだ
ながい一日になる どの家の工房からも 一日中 ながいながい煙をあげて バイオリンを鳴らしつづける
ポンパもウチキも、アンゼリカも 西の空を行きたいっていう でもぼくは東へ飛んで行ってみたい たとえばニッポンとかいう島国まで
村長の挨拶は毎年おなじ ぼくの生まれた小さな村が むかし焼け野原になったとき
ひとりの男がやってきて 瓦礫でパンを焼いたはなし
悪いことがわるいのも おおきな戦争が あったのも ただ、空腹があるせいだから、と みんなを満腹にしたはなし
あしたは村のお祭りだから こどもはとっくに眠ってしまった ぼくよりちいさなこどもたちも 将来みんなパン職人になる
おとなたちはみんな準備で眠らない 風車はまわしっぱなし 生地でこしらえた沢山の熱気球に パンの匂いを詰めこむために
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