妄言読書日記
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2002年09月19日(木) 『ハサミ男』(小)

【殊能将之 講談社文庫】

だ ま さ れ た

最初から、色々と疑いつつ警戒しつつ読んでいたのに、きれいに騙されました。
以下、未読の方、これから読む予定の方は読んではいけませんよ。



「わたし」がまさか、ミスリードだとは思いませんでした。
ずっと、「医者」の存在を疑って読んでいたので。
実は妄想と見せかけて実在なんじゃないのか、と。そんな展開だったら、だいぶ無理があったでしょうけど。
わたしが日高じゃないなんて。
最後に「わたし」の元に、当のヒダカが現れたシーンは、「ああ!」と感嘆の声を上げそうに。
犯人はさっぱり意外じゃなかったですけどね。
そこは別にメインの謎ではなかったと。

性別トリックに一人称トリック。
使い古された手法ながらも組み合わせと使い方によってこうも驚かされるとは。

いいテンポの文章に重過ぎずどろどろし過ぎずの展開が良かったです。

ラストもいいですね。
まだやるの?どうするの?

再読したいと思わせるミステリはなかなかありませんが、これはもう一度読み直して確認したいです。

しかし、ハサミ男・・・・全く、この呼び名に騙された。
真っ先に疑うべき場所のはずなのに、きれいに騙された。
いい作家がデビューしてくれたなぁ。
他の作品が文庫化(それでもノベルズで買わないのか)するのが楽しみです。

解説文は微妙に的外れでした。
作者と知り合いだから客観性を欠いたのかな?
そんなんは言い訳にはなりませんが。



蒼子 |MAILHomePage

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