妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
目次|前のページ|次のページ
2010年01月20日(水) |
『陽気なギャングの日常と襲撃』(小)『どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか?』(他) |
【伊坂幸太郎 祥伝社文庫】
前半が連作短編集めいた4編。 後半は前半の伏線を回収しつつの、お馴染みの4人組みによる強盗、誘拐事件、カジノ潜入などなどもりだくさん。 途中で久遠が捕まったり、銃撃されたりスリルも増え、今回も小気味よく進む。 昨今、ダークサイドへ行こうとがんばってる伊坂の純然たるエンターテイメント小説としてできれば続けて欲しいシリーズです。 伊坂がどうしても黒くなりきれないのは、なんやかんやで主人公が品行方正だからなんじゃないかなーと本書を読んで思いました。 別に無理に黒くならなくていいと思うんだけど・・・。 今回は、間抜けな誘拐犯二人組みについて、久遠がラストで今でも人質を探している姿を想像するけれど、恐らくは消されているだろうと、久遠も読者も充分承知しているという点、伊坂なりのせいいっぱいの苦さなんだろうなぁ。 別に無事でいてもばちは当たるまいと思うのだけれど、そうしないんだなぁ。伊坂は。
+++++++ 【中島義道 角川文庫】
なかなかぎょっとするタイトル。 偏屈哲学者の人生論。人生論っていうのかな、こういうの。読んだことないからわからないや。
大きくわけて、3章に分かれているのだけれど、最初の章はだいぶ共感する。 共感するというか癒される。 人生の素晴らしさを説かれるよりも、人生に意味などないと言われる方が私は救われる。 実際、意味なんかないと思って生きているんだけれど。 自殺してはいけないのか?は殺してはいけないのか?よりも答えるのが難しい問題ですね。 私は自殺したいとは思わないのだけれど、物心着いて最初に強く思ったのがどうにかして明日死んでしまえないかということだったので、人生の大半をそんなこと思って生きてると偏屈な人間ができあがるのだなぁと、しみじみした。 隠遁できるならいつでもそうしたいよ。
それにしても中島先生はすごく真面目なんだろうなぁと思った。 タイトルの疑問への回答は最後に書かれているけれど、きっとそれしかないんだろうな。 人生に意味なんかないと思ってしまった人は、哲学者になるか作家になるか芸人になるしかないのかもしれないね。 私はどれでもないけど。
|